意思決定と実行

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これまで以上に「人」を大切にする理由

企業経営において、「人」はとても重要な存在です。特に中小企業においては、「人」が最も重要と言っても言い過ぎではありません。

何故なら、中小規模の企業は、中堅企業や大企業のように多くの「もの」や「お金」、そして「情報」を保有していません。*1

したがって、「人」を大切な資本と考えて、活かしていくことが事業を成功させるために必要となります。

しかしならが、その「人」という最も重要な存在を確保すること自体が、とても難しくなってきています。

 

 

急激な人口減少社会の到来

以下のとおり、日本は、急激な人口減少社会を迎えています。

日本の人口の推移(予測) 平成28年『情報通信白書』

2020年の就労人口 7,341万人は、30年後2050年に5,001万人へと減少します。

また、高齢化率(65歳以上)も 29%から39%へと上昇します。

上記のグラフは、2015年までが実績値で、その後は推計値となっていますが、2022年の人口の実績値が12,223万人となっており、このグラフどおりか、予測以上のスピードで日本の人口は減少しています。

このような日本の人口減少は、具体的に、どのような問題を企業経営に引き起こしているのでしょうか?

人手不足の状況と深刻度

この点、日本商工会議所と東京商工会議所が2023年9月28日に公表した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」の調査結果が、とても参考になります。

『人手不足の状況と深刻度』

この調査結果からは、3,120社のうち、人手不足との回答が68%(7割弱)、64.1%(6割以上)が 「非常に深刻」又は「深刻」と答えています。

先ほど見た日本の急激な人口減少の傾向を 踏まえると、引き続き 「深刻化」が進むことは容易に予想できます。

人手不足による企業経営への影響

この人手不足がどのような事業への影響を生じさせているか?といと、

『人手不足の影響』

というと、なんと、18.7%の企業が「事業の拡大を見送った」と回答し、さらには、11.8%の企業が「やむを得ず事業を縮小・廃止した」と回答しています。

つまり、30.5%(3割以上)の企業が、人手不足を理由に事業計画を変更していることになります。

そして、21.6%の企業が「事業運営の具体的な支障がでている」と回答していることを踏まえると、52.1%(5割以上)の企業が人手不足の影響が事業に及んでいることになります。

日本の急激な人口減少は、さらに企業の事業運営に大きな影響を与えることになるでしょう。

このような時代背景を直視するなら、「人」を「資源」ではなく「投資すべき資本」と捉え、人手不足へ対応していくことは、企業の存続をかけた最重要の経営課題になります。*2

~ つづく ~

*1:だから、中小規模の企業なのです。

*2:『人的資本経営』は、相対的に経営資源が豊富な大企業や中堅企業が取り組む経営課題であるだけでなく、むしろ、中小規模の企業こそが取り組むべき最重の経営課題です。