労働政策研究・研修機構から、労働政策研究報告書No.223「企業のキャリア形成支援施策導入における現状と課題」が公表されました。
キャリアコンサルティングの効果に関する興味深いデータがあります。
キャリアコンサルティングの有無と経営指標
元データは、以下のとおりです。
このデータは、キャリアコンサルティングなどのキャリア相談制度の導入や施策が実施されていない企業の「売上高」「経常利益」「総人件費」「正社員数」「新卒正社員採用数」「中途正社員最奥数」「従業員の離職率」「新入社員の定着率(入社3年以内)」の各経営指標が、3年前と比較して、「大幅に増加・上昇」「やや増加・上昇」「ほぼ横ばい」「やや減少・低下」「大幅に減少・低下」のいずれに該当するかを明らかにしています。
データから読みとれること
キャリアコンサルティングなどのキャリア相談制度の導入や施策の実施を行っていない企業は、キャリアコンサルティングなどのキャリア相談を行う企業と比較して、売上高、総人件費等の基本的な経営指標が悪化傾向あることが読み取れます。
例えば、売上高が直近3年間で「大幅に減少・低下」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 81.0%、それに対して売上高が「大幅に増加・上昇」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 73.2%となっています。
同様に、全従業員数が直近3年間で「大幅に減少・低下」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 81.1%、それに対して総従業員数が「大幅に増加・上昇」した企業ではキャリア相談の仕組みがない割合は 63.2%となっています。
つまり、キャリアコンサルティングなどのキャリア相談等の仕組みがある企業では、順調に従業員数が増えている(定着率が高い・離職率が低い)ということが読みとれます。
キャリアコンサルティングと社員の定着率
この点に関する直接的なデータが、こちら。
従業員の離職率が直近3年間で「大幅に増加・上昇」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 82.2%、それに対して従業員の離職率が「大幅に減少・低下」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 70.8%となっており、その差は、11.4ポイント。
つまり、キャリアコンサルティングなどのキャリア相談等の仕組みがある企業の離職率は、11.4ポイントも低いことになります。
同様に、新入社員の定着率(入社3年以内)が直近3年間で「大幅に減少・低下」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 83.8%、それに対して、新入社員の定着率(入社3年以内)が「大幅に増加・上昇」した企業ではキャリア相談等の仕組みがない割合は 63.3%と、その差は、20.5ポイント。
つまり、キャリアコンサルティングなどのキャリア相談等の仕組みがある企業の新入社員の定着率(入社3年以内)は、20.5ポイントも高いことになります。
キャリアコンサルティングは、新入社員の定着率に高い効果があることが分かります。