理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case31 株式会社荻野屋

【経営理念】

お客様に真心を買っていただく

【会社概要】

創業/1885年(明治18年)
業種/各種弁当料理、麺類製造販売、駅構内営業(売店)、飲食事業部(ドライブイン・レストラン等)、石油類の販売、医薬品の販売
資本金/1,000万円
従業員数/580名
本社所在地/群馬県安中市
代表取締役社長/高見澤志和(6代目・2012年就任)
URL/https://www.oginoya.co.jp/

 

 

経営理念

お客様に真心を買っていただく

ミッション

真心こめてお客様の「旅」を楽しくする

ひとつひとつていねいにつくる、手づくりのあたたかさ。
それは、お客様ひとりひとりへの感謝の気持ちを忘れない、「まごころ」の証。
おぎのやは、感謝・和顔・誠実という不変の価値とともに、お客様のすばらしい思い出づくり、そして地域のさらなる発展に貢献します。

バリュー(社是)

感謝・和顔・誠実


分析

1.どのように社会に貢献するのか

お客様に真心を買って頂くこと、そしてお客様のすばらしい思い出をつくることで、地域のさらなる発展に貢献しようとしています。

「お客様に喜んでいただきたい」という4代目みねじ氏の経営哲学から「峠の釜めし」が生まれました。

2.未来のあるべき姿、進むべき方向性

これまで積み重ねてきた「峠の釜めし」を更に深掘りして、新しい事業の柱を作りあげる。そのために、「釜めし」というシステムを構成要素に分解し、別の形に再構築していくというプロセスを上手く利用し、真心こめてお客様の「旅」を楽しくする。ミッションが、進むべき方向性を考えるヒントになっています。

3. 戦略・戦術のヒント

食の安全・安心はもちろんのこととして、お客様に真心を買って頂くということはどういうことなのか?真心とは何か?経営理念やミッションから自社の存在意義が何かを問うことができます。

重い、処理に困るというお客様の声に応えて、「峠の釜めし」の特長的な部分である釜の利用をやめ、紙製の容器をWASARAと共同開発し、空弁へと進出する。

創業135年の老舗が、これまで積み上げてきたものを再確認しつつ、自社の存在意義を明らかにしていく取り組みを行うことで、より具体的な戦略と戦術が見えてきます。

高見澤志和社長のことば

「しっかりとお客様と向き合い、温かい家庭的なお弁当を食べたいという要望を真摯に捉えて、それを実現するべく努力する。」
「弁当といえば木の折箱という先入観も破りました。」
「長野五輪に向けて急ピッチで進めた拡大路線」
「長野五輪の年をピークに観光バスの予約が徐々に減り、売上の減少が始まっていました。しかし店舗を見ればお客様はたくさん来店いただけており、日銭も入るわけで危機感がなく、いわば会社全体が”茹でガエル”状態になっていた。」
「カリフォルニアの駅弁フェアに出店」
「海外でやれればどこへでも出られるだろうという発想」
「どうすれば同じ味の峠の釜めしが提供できるのか。調理法を見直すなど、いろいろ知恵を絞りました。」

「これまでの観光主体からより日常に近いところを目指すのは、戦略として有効ではないか」
「攻撃は最大の防御だという形で改革を進めてきましたが、足元を固めた上で攻めに出たほうがリスクは少ないということがよくわかりました。」
「次に何をすべきかをコロナがみせてくれた」

コロナ禍においても、東京の銀座店や八幡山店は減少幅が少なく、都内では日常的に利用頂いているお客様がたくさんいることが分かるなど、コロナによって、今後の方向性が見えてくるなど、ピンチをチャンスに変える分析力があります。

強みと10年構想の方向性

強みは、販路開拓力とチャレンジ精神です。

駅弁からサービスエリアのお弁当、海外そして空弁など、時代の変化にあわせて、販路を拡大して、創業135周年を迎えました。この販路開拓力には見るべきものがあります。

お弁当からはじまり、峠の釜めし、麺類製造販売、駅構内営業(売店)、飲食事業部(ドライブイン・レストラン等)へ多角化にチャレンジしており、チャレンジ精神が旺盛です。2009(平成21)年にリニューアルオープンした上信越自動車道横川サービスエリアの店舗では、かつての横川駅の情景を再現するため、当時走っていた列車を展示するといったチャレンジもしています。

10年構想の方向性は、①峠の釜めしの高付加価値化、②峠の釜めしが持つ強みを活かした新商品開発(新規事業開発力)の強化、③リブランディングです。

理念と経営 2021年 04 月号 [雑誌] より