理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

誰と取引をすべきか?

自社が持続的に成長・発展するために、誰と取引をするのか?

これは、とても重要な問題です。特に、個人事業主や中小企業など相対的に企業規模が小さくリソースが限られている企業にとっては、ときに死活問題になります。

誰と取引をすべきか?どのように意思決定していけば良いのでしょうか?

 

確実に死活問題となるのは、反社会的勢力と取引関係を持ってしまうことです。

反社会的勢力(反社)とは、

暴力・脅迫や詐欺などの違法行為を組織的におこなう集団のことで、暴力団や半グレ集団、その他の犯罪組織や協力者たちです。

それでは、こういった反社と取引関係を持たないようにするためには、どうすれば良いのでしょうか?

 

 

取引開始前

言うまでもなく、取引開始前がとても重要です。

一度、反社と取引を開始してしまえば、後日、取引先が反社であることが判明した場合、自社の社会的評価や信用に大きな傷がつく可能性があります。

これは、有名企業や芸能人に限った話ではなく、今では、反社会的勢力排除への取り組みの成否が、企業のレピュテーションを支える重要な要素となっています。

また、後日、取引先が反社であることが判明し、取引関係を終了させたいと考えた際に、取引関係を解消すること自体が難しい場合もあります。反社会的勢力排除に関する覚書や誓約書を取り交わしているからと言って、容易に取引関係を解消できるわけではありません。

それでは、取引すべきでない相手かどうかをどのように判断すれば良いのでしょうか。

1.直感

経営者自身が、取引先の人物と会って直接判断ができる場合は、まずは取引先の人物と取引をしたいと思うか、ご自身の直感を活用してください。

その人が好きか嫌いか、馬が合うか合わないか、その感覚を大事にして欲しいと思います。直感は良い人間関係、信頼関係を築いていくためには、とても大事な判断要素だからです。

もちろん、直感だけに頼ってはいけません。直感に加えて、次のような客観的な情報の収集は不可欠です。

2.事業実態の確認

経営者自身が取引先の人物に会って直接判断できない場合はもちろん、直接会って判断できる場合でも直感だけに頼ることは危険です。

事業実態という客観的な情報収集を行うことは必要です。

客観的な情報収集としては、以下のようなものがあります。

  1. オフィスや工場などの現地調査
  2. ホームページの有無と内容
  3. インターネットによる各種情報収集

最低でも上記の3つは行いたいところです。

上記3つの情報を収集して、何か気になる事があれば、

  1. 登記簿謄本を取得して、過去の社名やこれまでどのような方が役員であったかについて
  2. 現在の住所地に現在又は過去に存在している法人はあるか、ある場合、どのような法人かについて
  3. 従業員とその勤務実態について
  4. 業界内の関係先から評価・評判について
  5. 他の取引先の有無と実績確認

と言ったことを追加で調査します。 

3.取引銀行

上記のような調査は、リソースの少ない個人事業主や中小規模の企業には難しいこともあります。また、近年、設立された会社の場合、社歴が短いことから収集できる情報に限りがあります。

そのような場合、主要な取引銀行がどこであるかを確認することが重要になります。

おそらく今日本で一番、反社会的勢力と取引関係を持たないようにしているのが、日本を代表するようなメガバンク、大手都市銀行です。大手都市銀行の口座が開設できるているかどうかは、重要な判断要素になります。

仮に、大手都市銀行だけでなく、地方銀行の銀行口座が開設できない場合は、かなりの確率で反社の可能性が高いです。

従って、現金取引を持ちかける取引先は要注意です。

取引開始後

取引開始後であっても、定期的な予兆管理を行うべきです。具体的な予兆管理の方法としては、以下のようなものがあります。

1.取引(履行)の遅れ

金銭の支払いだけでなく、様々な債務の履行に遅れがないか確認をすべきです。

突然、相手方から多額の現金取引を持ちかけられたり、これまで少額の前払取引だったものを多額の後払取引に変更して欲しいという要望がなされた場合も要注意です。

多額の現金取引は、脱税やマネーロンダリングに利用される可能性があります。また、多額の後払取引への変更は取込詐欺など犯罪に巻き込まれる可能性があります。

2.言動

取引開始後の言動の変化にも十分注意すべきです。

例えば、以下のような言動やその恐れがある言動があれば、改めて、反社ではないかを確認すべきです。

  1. 脅迫的な言動や暴力的な要求
  2. 法的な責任を超えた不当な要求
  3. 信用を毀損する行為や業務を妨害する行為
  4. 資金提供、便宜や利益の供与等の要求

お客様としてお金を払ってくれるかどうか?だけでなく、自社の持続的な成長・発展を阻害する要素がないかも、中長期的に取引関係を継続するかどうかを決める際の重要な判断要素になります。

3.相手方及び他の取引先の確認

取引開始後、定期的に相手方と接点を持つことが重要です。これは、反社かどうかをチェックするためだけでなく、自社の製品・サービスの改善や改良、客単価の向上、顧客生涯価値の向上、取引先の与信管理ためといった自社の持続的な成長・発展のために必要な諸活動であり、継続的に行うことで様々なメリットを得ることができます。

また、定期的に、自社以外の他の取引先と相手方との取引状況を確認することが重要です。自社以外の他の取引先と相手方との取引状況を確認することで、様々な予兆を掴むことができる可能性が高まります。

取引終了に向けて

上記のような確認の結果、反社と分かれば、自社の継続的な成長・発展のために反社との取引は終了させていくことになります。

取引開始時に、予め反社会的勢力排除に関する覚書等を取り交わしているときでも、取引を終了させることは困難な場合があります。

自社だけで抱え込むことなく、全国暴力団追放推進センターや警察、民事暴力介入を専門とする弁護士に相談するなど、各種専門家の力を借りながら、取引関係を終了させることが肝要です。