理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case29 株式会社西山酒造場

【経営理念】

「丹波のリラクゼーションの創造と提供」

Making and providing of relaxation of Tamba

【会社概要】

創業/1849年(嘉永2年)
業種/清酒・焼酎・リキュール・グラッパ、スイーツ、ノンアルコール製品等の製造・販売
資本金/2,000万円
従業員数/50名
本社所在地/兵庫県丹波市
代表取締役社長/西山周三(6代目・2002年就任)
URL/http://www.kotsuzumi.co.jp/officialweb/

 

 

経営理念

「丹波のリラクゼーションの創造と提供」

Making and providing of relaxation of Tamba 

ミッション

私たちは伝統技術を活用し、お客様の「今までなかった!」を創造する。 

ビジョン

30年後、丹波地域を「画期的な革新が生まれる場所」にする。

バリュー(社訓)

一、お客様からの「ありがとう」を第一に考え、そのプロセスを踏む。
一、できない言い訳より、創造的思考でできる方法を考える。
一、現状に満足せず、自分を育て、他人も育てる
一、他人に動かされるのではなく、自ら考え自ら行動を起こす。
一、常に自分の原点を見つめ、挨拶と清掃を何処よりも徹底する。


分析

1.どのように社会に貢献するのか

創業172年の酒造メーカーであり、日本酒が売り上げの半分を占めています。ただ、今後は、この比率を変え「丹波のリラクゼーションの創造と提供」を行っていきたいと考えています。これまで培ってきた伝統技術である、酒造りのノウハウ、「米の発酵技術」をコア技術と見極めて活用し、子供からお年寄りまでをターゲットとした、新しいモノづくりや旅館業に取り組んでいます。

お客様の「今までなかった!」を創造することを目指し、社会に貢献しようとしています。

2.未来のあるべき姿、進むべき方向性

30年後、丹波地域を「画期的な革新が生まれる場所」にするというビジョンのもと、甘酒ヨーグルト、甘麹をはじめ、米の発酵技術を応用したノンアルコール製品を生み出しています。また、丹波に根付いたモノづくりにこだわることで、地元の特産品である黒豆や栗を活かした黒豆焼酎や栗焼酎を作っています。また、丹波地域の活性化のために旅館業にも進出しています。

未来のあるべき姿を明確にし、実際に新商品開発や新規事業開発が行われています。

3. 戦略・戦術のヒント

何があろうと地元丹波を中心として活動し、貢献するという経営理念・ミッション・ビジョンから事業展開を図るなど、今後を見据えた戦略を打ち出しています。

その戦略に基づく戦術は、米発酵技術を活用した甘酒ヨーグルトなどのノンアルコール製品、グラッパの製造にはじまり、丹波じゃないとできないもの、丹波の素材である地元名産品を利用した焼酎、丹波栗のスイーツなどの開発へと繋がります。

水にもこだわりがあります。使用するすべての水は竹田川の伏流水である蔵内の井戸水で、事業の生命線とも言える存在です。この美しい清水を守るために、環境保護の取り組みにも繋がっており、経営理念等が具体的な行動のヒントになっています。

西山周三社長のことば

「明るくなければものづくりはできない」
「明るい職場だからこそ、いい製品を造ることができる。お互いのコミュニケーションも活発になるし、失敗を許せる寛容さも生まれます。」
「新しい視点を入れるという意味でも、会社を明るくするためにも積極的に女性を採用していったのです。」
「これまで理由もなく『当たり前』にやってきたやり方を変えていこうと、現場に入って対話を重ねてきました。」
「酒造りでは杜氏が一人でやることが結構あったんです。でも一人でなければいけないという理由はありません。それを複数の人間でやるようにしていきました。そうすることで杜氏の勘や経験に頼っていたものを共有化することができます。」
「日本一明るい蔵だ、という評価もあるほどです」
「当時ネットで最も売れていたのが水だったんです。ミネラルウォーターですね。確かにスーパーで買っても持って帰るのは重い。酒も液体です。ネット通販はいけると思いました。」
「狭い市場で一位、二位を取っていく。これは意識してやっています。」

差別化に強いこだわりがあり、社員の3分の2が女性、外国人採用、ネット販売、高浜虚子の俳句、綿貫宏介氏の酒瓶ラベル等のストーリーなど多くの取り組みが価値ある差別化要素を生み出しています。

強みと10年構想の方向性

強みは、米発酵技術と変革実行力を備えていることです。

企業が長期間存続するためには、環境の変化と自社の成長に合わせた事業構造の転換が必要です。事業構造の転換にあたっては、自社の存在意義とこれまで自社が培ってきたコア技術*1が何かを深く知ることが重要です。コア技術を見極めることができれば、コア技術を軸に、顧客ニーズを踏まえた事業展開をしていくことが可能になります。

強みを機会に活かすのは事業戦略の基本ですが、自社の存在意義や自社の強みを発見することは容易なことではありません。

だからこそ、取り組む価値があり、持続的な競争優位性を築くことができます。

10年構想の方向性は、①新規事業開発力の強化、②丹波地域のエコシステムの確立です。

理念と経営 2021年 03 月号 [雑誌] より

*1:コア技術とは、テクノロジーに限定されるものではなく、ノウハウ、スキル、知識、経験も含むものであり、非製造業においては、広く強みを形成する要素のことです。