理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case28 大橋珍味堂株式会社

【経営理念】

質の高い安全な商品をお客様にお届けします。

社員が笑顔で働ける「活力ある会社」を目指します。 

【会社概要】

創業/1830年(天保元年)
業種/珍味製造販売
資本金/2,000万円
従業員数/43名
本社所在地/滋賀県東近江市
代表取締役社長/大橋史和
URL/https://www.ohashi-group.com/

 

 

経営理念

質の高い安全な商品をお客様にお届けします。

社員*1 が笑顔で働ける「活力ある会社」を目指します。 

ビジョン

笑顔の関係作り

  • 食べていただいた方の笑顔
  • お客様の笑顔
  • 取引先様の笑顔
  • 社員の笑顔 

バリュー(社訓)

一 変化にいち早く察知する英知

一 行動に向かって速い決断と実行

一 目標を成し遂げる不屈の精神

「仕事の順位」 


分析

1.どのように社会に貢献するのか

創業190年の会社であり、茶葉販売業、醸造機械販売業、食品卸売業、そして、珍味の製造販売業と業態を変化させてきています。このような歴史から、どのように社会に貢献するか、あまり明確ではありません。ただ、現在は、メーカーとして、「質の高い安全な商品をお客様にお届け」すること、「社長を含む全社員が笑顔で働ける「活力ある会社」を目指し、社会のお役に立つ会社になることが分かります。

2.未来のあるべき姿、進むべき方向性

歴史を持つ会社の経営理念やビジョンは、抽象的なことが多いです。大橋珍味堂の経営理念とビジョンも、どちらかと言うと抽象的です。経営理念やビジョンは抽象的でも、そこに込められた意味や想いを経営者と社員が共有でき、社内文化や社風として確立されていれば、経営理念やビジョンはその力を発揮します。

3. 戦略・戦術のヒント

200年企業のヒントは、バリュー(社訓)にあります。

仕事の順番として、まず最初に、英知をもって変化をいち早く察知し、次に、その変化に応じて、早い決断をもって行動(実行)する。そして、一度実行したならば、不屈の精神をもって目標を成し遂げる。

きっと、不屈の精神をもって目標を成し遂げる際に、変化をいち早察知したときは、新たな決断をして、新しい行動を起こし、200年企業への道を歩んできたのだと思います。

これを着実に実行できるかどうかが、企業存続の確率が大きく変わってきます。

大橋史和社長のことば

「(社員が)一生懸命作ってくれた商品が、平気で返品されてくる。そいうのはどうなのか、という思いがずっとありました。」
「(問屋業から)『メーカーになるで!』と言うと、社員さんたちはみんな大賛成してくれました」
「不安でしたから本ばかり読んでいました。その知識をもとに『ケチケチ大作戦』と銘打って、毎週月曜日に社員さんに少し早く来てもらって、損益分岐点などの話をしながら『無駄な経費はみんなで削減しよう』と呼びかけた。」
「お客様に喜んでもらった商品に関しては、『どこが良かったんだろう。自分が思っている部分以外にいいところがあるのではないか』と研究し、もっと良くなるように変えていきます。」

 

業績が苦しくなると、売上を確保するために、安易に価格を下げたくなりがちですが、大橋社長は、逆に商品を価値を高めていく「価値戦略」をとりました。

価値とは、お客様が他との違いを認めてくれるもの、あるいは他との違いを自分たちが明確に伝えることができるものだと、大橋社長は言います。

大手と異なり、素材を一から作ったりすることができないため、既存の素材AとBを混ぜて新しい素材を作るなど、その組み合わせを工夫する。そのためには、既存の素材AとBについて、徹底的に研究し、その特性を熟知しておくこと、組み合わせのノウハウを磨き蓄積していくことが重要です。

強みと10年構想の方向性

強みは、適応力と実行力を備えていることです。

企業が長期間存続するためには、環境の変化と自社の成長に合わせた事業構造の転換が必要です。変化を察知し、変化に適応する力が高い組織は、学習する組織であることが多く、学習力の高い組織です。そして、学習したことを実践できる実行力がなければ、企業を長期間存続させることは難しいです。

適応力、学習力、そして実行力は組織の力であり、組織の力とは、すなわち社内文化・社風でもあります。

歴史ある企業には、歴史を作りあげることができる本質的な理由があります。その理由を作りあげた根本的な要因は社内文化や社風と呼ばれるもので*2、他社が容易に模倣できない競争力の源泉であり、強みとなります。

これらの力が失われたとき、組織は終焉を迎えます。

10年構想の方向性は、①新商品開発力の強化、②海外を含む販路拡大です。

理念と経営 2021年 02 月号 [雑誌]より

*1:社員とは、社長含む全員のことである。

*2:良い社内文化や社風は、会社と自らの存在意義を問い続けることで生まれてきます。