理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case27 株式会社さくら住宅

【経営理念】

リフォームを通じて、社会のお役に立つ会社になる
 

【会社概要】

創業/1997年(平成9年)
業種/住宅リフォーム事業
資本金/9,800万円
従業員数/45名
本社所在地/神奈川県横浜市
代表取締役会長/二宮生憲(初代)
URL/http://www.sakura-jutaku.co.jp/index.html

 

 

経営理念

リフォームを通じて、社会のお役に立つ会社になる

ミッション

住まいのかかりつけ医

ビジョン

リフォームをお願いしたい会社の日本一を目指す

バリュー(行動基準)

「価格競争に走らない、適正価格を維持する」
「高品質と提案力で満足を得て頂く」
「アフター対応が迅速・丁寧」
「どんな小さな工事でも大切に対応する」
「どうすればお客様の役に立つかを常に考えている」
「20年先を見越してリフォームの商品提案、施工をする」
「誰にでも分かりやすい説明をする」
「常に最新の商品知識を取り入れて提案する」

 

分析

1.どのように社会に貢献するのか

どんな小さな工事も引き受けるリフォーム事業を通じて、売りっ放しや30年くらいで家を壊し立て直すスクラップ&ビルドをなくすことにより資源を有効活用し、社会のお役に立つ会社になる。どのように社会に貢献していくのか明確です。

2.未来のあるべき姿、進むべき方向性

小さなリフォーム工事でも、①営業が現場を見て相談にのり、②見積もりを持って契約をし、③現場監督がどんな工事をするかを確認し、④職人さんが工事し、⑤集金とアフターフォローをする。何回もお客様を訪問し、顧客との信頼関係を構築する。どのように、住まいのかかりつけ医となり、リフォームをお願いしたい会社の日本一を目指すかのかを分かりやすく示しています。

3. 戦略・戦術のヒント

工事件数の50.5%が3万円以下の小工事で、売上7,088万円(5.6%)。これが、売上11億8,521万円(94.4%)の大口工事に繋がっています。リピート率はほぼ100%。そして、お客様を株主にするという大胆な資本政策を採用しています。

リフォーム事業というと通常は高額取引のみとなり、顧客との接点が少なくなりがちなビジネスです。そこで、売上を安定させ、継続的に利益を生み出すために、戦略的に顧客との接点を増やし、顧客生涯価値を高める。

住まいのかかりつけ医となって、リフォームをお願いしたい会社の日本一を目指すことが戦略・戦術の起点となっています。

二宮生憲会長のことば

「リフォーム会社は言ってみれば町医者と同じだと思っています。お客様が本当に困っているのは小さなことが多いのです。なかには緊急を要するものもあります。」
「確かに小さな工事は手間がかかります。しかし手間を惜しんだらこの仕事はできません。その手間がお客様との信頼関係を生むのです。」
「ノルマはありませんが、年間目標はあります。その目標をみんなに振り分けています。お互いに競走するのではなく、その目標を達成するために支え合う。月末になると、まだ目標に達していない社員に受注した仕事を回したり、一緒にお客様のところに同行したりすることが当たり前になっています。」
「経営で大切なことは売り上げを追及することではなく経常利益を出すことです。」
「CCS(コスト・コントロール・システム)工事台帳というものを作っています。一つひとつの原価から割り出した契約時の総額や利益率、そして実際に工事でかかった実行予算、その内訳、支払日や入金日とその金額など、一つの工事に関する情報を一枚のシートに書き込む仕組みです。」

 

二宮会長は、近江商人の『三宝良し』では足らない、『五法良し』が必要と言います。

そして、これは順番が大切だと言います。

  1. 社員とその家族
  2. 仕入先・協力業者とその家族
  3. 未来顧客も含めたお客様
  4. 地域住民
  5. 株主


二宮会長は、長年住宅メーカーに勤め、50歳で創業。

創業時の資本金は1,500万円でしたが、現在の資本金は9,800万円です。資本金急拡大の理由は、お客様株主制度にあります。会社は社会の公器であるとして、2020年3月31日現在、株主数156名中、90名弱(57%)が顧客です。これは、中小規模非公開会社では珍しいですが、とても面白い仕組みです。もちろん、支配権の分散は気になりますが、公開会社であれば、ある意味当たり前のことで、事業承継が楽になります。実際、創業者の二宮さんは会長職に退き、福田千恵子さんが社長となっています。

お客様株主制度は、支配権の分散によるデメリットが生じないか、生じてもコントロール可能なものであれば、返済義務のない資本金が増加し、会社の財務基盤が安定するとともに、顧客を株主とすることで、顧客からの紹介案件の増加が見込めるという素晴らしい方法です。

強みと10年構想の方向性

強みは、ストーリーのある戦略構築力と実行力です。

小口案件を重視することで、複数の小口案件を経て、大口案件への受注に繋げる。業界の常識とは異なる手法で、顧客生涯価値を高め、リフォーム業界を変革するストーリー性のある戦略は見事です。そして、これを実際に実現できる実行力に優れた会社です。また、お客様株主制度も運用は簡単ではないと思いますが、上手く運用できれば非常に理に適った仕組みです。

10年構想の方向性は、①神奈川県外への事業進出、②M&Aによる他地域展開です。

理念と経営 2021年 02 月号 [雑誌]より