理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営計画の社内展開について

2021年度の経営計画が立案され、現場への落とし込みがはじまっている頃かと思います。

社長や経営幹部が中心となって立案した経営計画を、しっかりと現場に落とし込むことは難しいものです。

会社によっては、社長や経営幹部が立案した経営計画を発表するや否や、議論が紛糾し思わぬ方向に進んでしまうこともあります。

どのように計画を立案し、社員への落とし込みを行っていけばよいのでしょうか。

 

☆今回も、前提は非上場の中小企業です。

 

 

1. 計画立案段階

社長と経営幹部が経営計画を立案する際に、その数字が達成できるかどうかという実現性の根拠はそれほど重要ではありません。実現性や現実感を重視し、堅めの堅実な数字を立案することは、組織のダイナミズムを活かすことができない経営計画であり、むしろ、望ましくないものです。

もちろん、無謀すぎる計画では、社員は経営計画を自分事化することができず、計画実現へのモチベーションが生まれません。

社員のモチベーションという観点からは、経営理念や5年後・10年後のビジョンを実現するために、その数字が必要である、ということが説明できるかどうかを重視した方が良い経営計画になります。

 

2. 現場への落とし込み段階

経営理念・ビジョンから話をはじめる

立案した経営計画を社員に説明する際には、まず、自社の経営理念やビジョンから話はじめましょう。

事業の内容や組織、数字の話を先にしてしまうと、社員は、その事業がしたいかしたくないか?その組織が自分にとって良いか悪いか?実現すべき数字は自分にとって負担になる数字でないか?など、社長と経営幹部が立案した経営計画を受け入れるか、受け入れないかという2項対立に陥りがちです。

最初に、社員と一緒に経営理念やビジョンを再確認し、ゴールを共有することで、思わぬ方向に議論が進むことを避けられる可能性が高まります。

経営計画の数字を自分事化する

経営理念やビジョンを社員と再確認する際に、併せて、社長と経営幹部が立案した経営計画において、労働分配率(給与・賞与の原資額)についても説明をします。

売上と利益(粗利)をあげられれば、労働分配率が同じでも、社員の給与・賞与の原資は大きくなります。つまり、社員のお給料が増え、人生においてしたいこと、やりたいことができることが増えるということです。

この点を社員に説明することで、経営計画の実現を自分事化します。

経営計画を実現するための工夫を社員と一緒にする

自分事化された経営計画の数字は、会社から社員へ課せられた義務ではありません。

社員一人ひとりが幸せな人生を送るために必要な、自分の人生において実現すべき計画です。

このような認識を持った上で、経営計画の数字は、

    1. 今までの方法で実現できるのか?
    2. 業界の常識で実現できるのか?
    3. 今までにない新しい方法で実現できるか?

を考えます。

1. と2. は比較的簡単にできますが、3. は一度の会議やミーティングで答えがでるものではありません。

社内だけでは良い智慧や方法が見つからず、広く情報収集したり、外部専門家の力を借りながら、自ら試行錯誤し、時間をかけて自社の強みとして確立していく必要があります。

経営戦略を再構築する

社員が上記3. の初期段階や試行錯誤の初期段階の検討を行うことと併せて、社長と経営幹部は経営戦略を再構築するかどうかを検討することになります。

そもそも、自社の力では、その事業領域において目標とする売上と利益を実現することができないと判断する場合には、目標とする売上と利益は変更せずに、その実現手段である事業領域やビジネスモデルを変更する必要があります。

この検討を行わずに、上記3. を進めていくと、各種経営資源の無駄遣いになる可能性があるからです。

各種経営資源の無駄遣いを回避するためには、もう一度、自社の存在意義や強みを踏まえて、参入すべき事業領域を再決定し、強みを活かすビジネスモデルを再構築していくことになります。

これは社長と経営幹部がすべき仕事であり、社長が最終的に決定すべきものです。