理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case23 株式会社大町

【経営理念】

本物のおいしさを通して日本の心に気づいてほしい
株式会社大町は"本物のおいしさ"のご縁を結び合うことを"志"とします。
 

【会社概要】

創業/1970年(昭和45年)
業種/食品の企画、卸、だがし(なつかし玩具含む)及び農産物の直販
資本金/1,000万円
従業員数/40名
本社所在地/岡山県瀬戸内市
代表取締役社長/秋山秀行(3代目・1999年就任)
URL/https://ohmachi-site.co.jp/

 

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経営理念

本物のおいしさを通して日本の心に気づいてほしい

株式会社大町は"本物のおいしさ"のご縁を結び合うことを"志"とします。

"本物のおいしさ"とは、有名であるとか高価であるとかではなく、次のようなものと考えます。

・物心両面で「おいしい」「楽しい」と感じられるもの
・素材の持つ本来の価値を活かしたもの
・郷土の歴史や文化・昔ながらの製法を継承しているもの
・作り手の顔が見える安心なもの

ミッション

日本各地に埋もれている「"日本の心"を継承する中小零細企業」を掘り起こし、共存共栄していく
 

ビジョン

「元氣村構想」

社是(バリュー)

-明るく- 明るい笑顔でありがとう
-広 く- 広くすべてのことにおかげさま
-温かく- 温かい慈悲慈愛の心をもって感謝。

分析

1.どのように社会に貢献するのか

どのような事業を通じて行うかは明記されていませんが、おそらく駄菓子だけでなく食品を通じて、日本各地に埋もれている「"日本の心"を継承する中小零細企業」を掘り起こし、共存共栄していくことで社会に貢献しようとしているのだと思います。

2.未来のあるべき姿、進むべき方向性

「元氣村構想」「元気な社員×元気な商品=お客様の元気」

子どもの笑顔があふれ、仕事も農業も盛んで経済的自立ができ、子育てにも最適な環境、そんな町にしたい、その一助になりたい。

長期ビジョンとしての「元氣村構想」は、イメージが湧きやすく、わくわくしますね。

この長期ビジョンをどのように実現するのか、その手段が明確ですと、よりビジョン実現の現実感がまし、達成が近づきます。

さらに「お客様の笑顔を一番に考えて非効率を進め、お客様に感動を届ける会社」をビジョンに加えると良さそうです。

3. 戦略・戦術のヒント

経営理念等として明確化はされていませんが、「お客様の笑顔を一番に考えて、業務を進める」「子どもの感動のために非効率を進める」などは、戦略・戦術のヒントがみえてきます。

例えば、袋詰めされているお菓子。一袋300円もすると子どもは買えません。ばらせば一つ10円とか20年で販売できます。ところが、賞味期限などの表示について法令の定めがあるため、ばらした一つずつに賞味期限を記したシールを貼る必要があります。

非効率極まりない対応ですが、効率を追及したら子どもたちは感動できません。

そこで、子どもたちの笑顔のため、非効率を追及する。これが、年間70万人の来客に繋がっています。

秋山秀行社長のことば

 「駄菓子は日本の文化。駄菓子で世界中の子どもたちを笑顔にしたい」

「欧米では、お菓子は親が買って子どもに与えます。ですから欧米のお菓子は親目線で商品が開発されます。子どもが喜ぶかどうかよりも、親にとって好ましい商品を少品種かつ大量に作り、それなりの値段で売るわけです。規格化されています。」

「日本には、子どもたちがお小遣いを持って店に行き、自分で選んで買うという駄菓子文化があります」

「駄菓子は子どもに向けて商品開発します。いろんな種類のなかから気に入ったものが選べるように、多品種少量生産。しかも値段は安い。」

「損得でも善悪でもなく楽しい仕事をしよう。当初は損得で商売をしていました。やがて損得よりも大事なものがあることに思い至りました。善悪です。けれど、だましだまされる現実を知ると、善悪を重視し、正義感を強く持っているだけに人を責めるようになったのです。恨みつらみも抱きます。そこで次の段階として、楽しいか、楽しくないかを重視するに至ったのです。」

「菓子業界では賞味期限までの期間が3分の1を過ぎると店頭から商品を引き下げるのが暗黙のルール化していた。もったいないそういう商品を生かす道はないものか?と小売業に進出」

「子どもの感動のために非効率を追及する」

「かつては数字だらけでしたが、今は数字を一切使っていません。ノルマなし、経営計画なしです。目標もないしマニュアルもありません。楽しくないことはことごとくやめました。営業部、経営管理部、物流部、品質管理部、と4部門あった組織も解体しました。」

「経営で一番コストと時間がかかるのは人の管理です。ですから管理はしません。休みはいつ取ってもいい。有給休暇はみんなほとんど消化しています。休憩もいつとってもいいし、試食しながら仕事をしてもいい。職場の主役は、パートさんです。パートさんは話し好き世代が多いですから、雑談もオッケーです。」

卸売業から小売業に進出し、顧客と直接の接点を持ち、現場に裁量を与え方法で、組織を活性化しています。

楽しいか、楽しくないかを判断基準・行動基準とすることは、これからの時代にあった経営方法だと思います。

卸売業の効率化とどのように両立させるかが、今後の課題になりそうです。

強みと10年構想の方向性

強みは、企画実行力と接客力です。

仲間をつくり増やすため、駄菓子づくりのエリート企業に呼びかけ、「DAGASHIで世界を笑顔にする会」を設立するなど企画実行力に優れ、また 『非効率の追求』を合言葉に子どもの”笑顔”に力を注ぐとして、卸売業から小売業へ進出し、年間来客数70万人を実現するなど、企画実行力と接客力に優れています。

10年構想の方向性は、①卸機能効率化と小売り機能との連携強化、②海外新市場開拓と展開です。

 

理念と経営 2020年 12 月号より