情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

本業を変化させるとき②

本業を変化させる最も良い時期は、これまでの本業が健全でキャッシュフローが十分なときですが、環境の急激な変化により、本業の転換をせざるを得なくなった場合は、どのようにすべきでしょうか。

 

本業が健全ではなく、キャッシュフローが不十分なときに、緊急時に遭遇した場合は、

  1. 補助金や醸成金、借入等により、キャッシュを増やす。
  2. これまでの本業(主力事業)で培った技術やノウハウ等を活かせる分野へ本業を転換し、無関連多角化を避ける。
  3. 環境の変化により何が変わるのか、いち早く変化の本質を理解する。

の3点が重要です。

このうち、今回は、3.のWhat(何を)の選択に磨きをかける方法についてです。

どのようにWhat(何を)の選択に磨きをかけるのでしょうか。 

 

環境の変化により何が変わるのか?

よく「環境の変化に適応しなければならない。」と言いますが、その変化の本質は「顧客の問題」の変化です。「顧客の問題」が時代とともに変わっていきます。

それでは、時代とともに変わっていく「顧客の問題」とは何でしょうか。

お客様の本質的なニーズ、人としての本質に根ざしたニーズは変わりませんが、環境の変化により、そのニーズを満たすことができなくなる「顧客の問題」が変わり、その結果、顧客が求める顧客価値提供の「方法」や「手段」が変わります。

人が生きて行く以上、「ニーズ」は続きますが、その「ニーズ」を満たすことができない問題の本質が変わり、課題を解決する「方法」や「手段」が変わるのです。

そして、多くの場合、顧客自身が「問題の本質」の変化に気がついておらず、その変化した問題の本質を解決する「方法」や「手段」に顧客が気がついていることも、ほとんどありません。

イノベーションを起こす

顧客自身が「問題の本質」の変化に気がついておらず、その変化した問題の本質を解決する「方法」や「手段」にも気づいていない。

顧客も気づいていない問題を解決する。つまり、緊急時の事業転換とは、ある種のイノベーションを起こす、ということです。

イノベーションを起こすためには、まずは、今まさに生じている「顧客の問題」を発見することです。そのためには、環境の変化により生じた新しい現実を見つめ、「顧客の問題の本質的な変化」が何かを考え、顧客に提供する価値をつくり、実際に提供して、フィードバックを得ることが重要です。

今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により、様々な場面で顧客の問題が本質的に変化しました。そして、多くの新しいビジネスが生まれています。これらのビジネスが顧客の問題の本質的な変化をどのように捉えていたかを考えることは、非常に有益です。

特に異業種のビジネスの変化は参考になります。自社と異なる業界のとある会社が、顧客の問題の本質的な変化を、どのように捉え、新たなビジネスを展開し、成功したのか、その背景にある論理は、自社のビジネスに応用可能なものとなります。

用途開発マーケテイング

年々時代の変化は、速く、激しくなっています。ここ30年の間に、100年に1度といわれる災害や出来事が10年に1度の割合で生じています。

どのような時代の変化が起こるかを予測することも難しいです。

予測が難しいとなれば、変化への対応力を高めるため、日頃から変化に対応するための訓練がかかせません。

そのための訓練方法として、用途開発マーケテイングがあります。自社技術や商品・サービスについて、既存の顧客層とは異なる顧客層を設定し、お客様の本質的な問題、すなわちお困り事は何か、それを自社の技術や商品・サービス、強みを活用して解決できないか?を考えるマーケテイング手法です。

具体的には、次のような事例です。

  1. 株式会社ワークマン
    中華料理人が愛用している厨房用ゴム靴の「滑らない靴」を、滑って転ばない機能を一番求めている「妊婦さん」向けに改良。
  2. 平安伸銅工業株式会社
    アメリカでシャワーカーテンを吊り下げる道具として使われていたテンションポールを、収納用品「突っ張り棒」に改良。
  3. 山田木管工業所
    下駄箱等の木製扉をつくる企業が、伊勢神宮に参拝した際、素晴らしい鯉のぼり手ぬぐいをもらったことから閃いて、手ぬぐい専用の額縁をつくり、2015年には1億3,000万円の売り上げる。

日本は、顧客が気がついている問題を解決するリノベーションは得意ですが、何が問題かを発見し、その問題を解決するイノベーションは不得意と言われています。

人を思いやるこころと余裕が足りないことが原因なのかもしれません。

共感力を高める必要がありそうです。