情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

理念と経営 2020年9月号

定期購読している理念と経営 2020年 09 月号から、経営に役立つアイデアやヒントをご紹介します。


特集 「攻めの経営」
 挑戦し続ける企業

 

理念と経営 2020年 09 月号 [雑誌]

理念と経営 2020年 09 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 雑誌
 

紹介されているシャチハタ、コーポレーションパールスター、クリスプの3社に共通しているのは、「環境の変化の本質は、『顧客の問題』の変化」であることを理解し、顧客の問題の本質的な変化に気づき、その問題に自社の強みを活かして、迅速に対応していることだと思います。

環境の変化に適応するということは、時代とともに変化する『本質的な顧客の問題』に対応することだと改めて思いました。

皆さんのお客さんの本質的な問題は、今、どのように変化していると思いますか。

 

 

道 第9回「回り端」

1台2万2900円(税別)のオーブントースターを大ヒットさせた家電ベンチャーバルミューダの寺尾社長のお話です。

 

僕らがつくる製品の価値の本質は味のおいしさだけでなく、うれしさにある。

お客様の人生をより豊かにする道具を提供する。企業はどうあるべきか。トースターを通して再確認できた。そこに経営の真の楽しさがある。

 

お客様は、ものと一緒に、体験を買っています。

お客様の体験価値を一緒に味わい、その体験を伴う製品やサービスを開発できるかどうかが新製品開発の重要な要素になります。

本当の意味での共感力が必要な時代になりました。

 

トップインタビュー

登山家の野口健さん

 

実は、山に行くとき大切なのは体力よりもメンタルです。

どんなに肉体を鍛えてもメンタルが不安定なままだと、進むか退くかという大事な判断で間違ったりするんです。

 

平常心。野口さんは、良いメンタルの状態を、「平ら」「淡々としている」と表現しています。

逆に、最悪なのは、「ネガティブ」「マイナス思考」だと言います。

登山という偉大な自然と向きあうときだけでなく、自分の人生を生きていくとき、経営していくとき、すべてにおいて通じることだと思います。

 

一度、ヒマラヤ山脈マナスルで先輩登山家の田部井淳子さんに会ったんです。1週間吹雪で閉じ込められていて、僕はイライラしてたんでしょうね。

田部井さんのテントに呼ばれて、お茶を点(た)ててもらいました。田部井さんは「今回は無理ね。帰るわ」と下山されました。

 

様々な意思決定や決断のなかでも、「やめる」と決めることは非常に難しいです。

そこに至るまでに多大な努力や資本を投下していれば、なおさらです。

理論的には、サンクコストにとらわれないことが重要というのは分かるのですが、命がかかるような場面でも、「やめられない」のが努力をしてきた人なのかもしれません。*1

 

巻頭特別企画 「遠くへ行きたければ皆ですすめ」

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.

早く行きたいなら、一人で行きなさい。遠くへ行きたいなら、みんなでいきなさい。*2

アフリカのことわざだそうです。

人生における真理の一つですね。

ただし、みんなで行こうとしたときの失敗例としてありがちなのが、結局、どこへも行けない、なんてことがあることです。

誰と一緒に行くかが、とても重要です。

 

株式会社シナ・コーポレーション代表取締役の遠藤功さんは、「SPGH戦略」として、以下のような戦略を提唱しています。

  1. Sは、サバイバル(Survival)戦略
    最も重要な生き残りをかけて、需要の縮小に合わせた、人員の適正化、コストの変動費化等により身軽な経営になるとともに、事業のコアを見直す。
  2. Pは、生産性(Productivity)戦略
    不要な通勤、不要な出張、不要な残業、不要な会議、不要な書類等を減らして、業務工数を30%減らし、スマホクラウドの活用と言ったIT化・デジタル化による効率化で生産性を30%増やす。
  3. Gは、成長(Growth)戦略
    既存の事業でサバイバルしながら、アジャイル方式で新規事業の探索を強化する。加えて、M&Aを活用して、既存事業を強化し、新規事業開発の時間を買う。
  4. Hは、人材(Human Resource)戦略
    企業の規模を問わず、これからは「新たなレールを敷くことができる人材」が必要になる。外部からの積極登用を進め、外部人材を処遇する新たな制度や仕組みを整える必要がある。中小企業だから、地方の企業だから大企業より報酬は低く、というのは単なる思い込み。

ポストコロナの時代は、本格的なデジタルの時代であり、DXを推進するとともに、これまで以上にリアリズムを大切にする必要があります。

現場・現物・現実の「三現主義」は、さらに大切になります。

新型コロナウイルス感染症という危機を、生産性と創造性の両方を向上させる絶好の機会に変えるという意思が重要です。

 

人とこの世界 認定事業再生士 吉川博文

「死んじゃいけない!」経営者の孤独に寄り添う事業再生のプロ

借金なんかで死ぬことはない。

もっと頭を柔らかくしてください、と相談者にはいつも言うのです。

借金は悪いことですか?

返せないとしななければいけないのですか?

借金返済の方法や生き残れる方法は数多く用意されているので、諦めなくても良いと、そして、その対策のヒントは、決算書の数字を見るだけでなく、現場に行くことで、会社の強みや弱み、ビジネスモデルの構造など、見えてくるものがある。だからこそ、足しげく会社や現場に通い、徹底して相談者に寄り添い続けることが大事だと吉川さんは言います。

 

現場に出る士業者は極めて少ないですが、現場にでるコンサルタントは多いですね。

現場に出るだけでなく、組織に入り込み、溶け込んで、改革を進めるコンサルタントもいます。

新型コロナウイルス感染症により、現場に出るだけでなく、組織に入り込み、溶け込むコンサルティングスタイルは、変化するのか、それとも変化しないのか。

ニューノーマル時代のコンサルティング活動がどのようになっていくのか注目です。

*1:気持ちは、分かるつもりですが、それでもやはり命は大事にして欲しい、と思ってしまいます。

*2:アル・ゴアアメリカ副大統領が、2007年にノーベル平和賞を受賞した際のコメントで紹介されたアフリカのことわざです。