情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

経営理念Case16 株式会社ゆたか

『理念と経営 2020年 08 月号』の企業事例研究に掲載されたゆたかの経営理念等の紹介です。

 

【経営理念】

美味しさづくり、人づくり

〜ゆたかは「料理」を通じ、「人」も作ります〜

 

【会社概要】

創業/1970年(昭和45年)

業種/外食事業、食品製造事業

資本金/1,000万円

従業員数/15名

本社所在地/北海道中川郡

代表取締役社長/鈴木賢司(2代目・2004年就任)

URL/https://yutaka-web.com/

 

 

経営理念

美味しさづくり、人づくり

〜ゆたかは「料理」を通じ、「人」も作ります〜

 

ビジョン

ゆたかが、あってよかった

脱・職人

ニューヨークに、十勝・池田町の食材を使った店を出店する

 

ミッション

プロとして、美味しく感動し、お客様にとってご満足いただける「食」を追求する

 

分析

1. 未来のあるべき姿、進むべき方向性を示していること

Webサイトなどから見えてくる3つのビジョンは、「脱・職人」を通して、「ニューヨークに、十勝・池田町の食材を使った店を出店」し、「ゆたかが、あってよかった」と思われるようになるというストーリーがあり、未来のあるべき姿、進むべき方向性を分かり易く示しています。

経営理念の「美味しさづくり、人づくり」の「人づくり」の具体的な内容がもう少し分かるようだと、もっと良くなると思います。

この点は、企業秘密でしょうか。

 

2. どのように社会に貢献するか明確であること

「ニューヨークに、十勝・池田町の食材を使った店を出店する」というビジョンを実現することは、北海道十勝・池田町の農家のお客様に対しての何よりの貢献になると考え、池田町と世界を結ぶ橋渡しを担えるようになるとしており、食に関する事業を通じてどのように社会に貢献するかが非常に明確です。

地元、十勝・池田町の食材を使ったお店によるニューヨーク進出、実現して欲しいですね。応援したくなる、とても良いビジョンだと思います。

 

3. 戦略・戦術のヒントが見えてくること

「脱・職人」のビジョンにより、勘と経験、技術を数値化し、厨房改革を行い、様々な調理法を導入して経営の合理化を進めて、ビジョンが戦略のヒントになっています。

また、「プロとして、美味しく感動し、お客様にとってご満足いただける「食」を追求する」というミッションにより、利用者に寄り添ったサービスを手掛け、他のとの差別化を図っています。

具体的には、「亡くなった方の遺族に対して何かお手伝いすることを事業化できないだろうか・・・。」、「お手伝い」を「事業化する」という視点から、新たに「法要マーケット」を開拓するなど、ミッションが戦術のヒントになっています。

 

4. 迷ったときの判断基準・行動基準になること

少し抽象的ですが、「ゆたかが、あってよかった」は、大局的な判断が必要なとき、大きな決断が必要なときに役立つ基準だと思います。

曖昧で抽象的なところはがあり、日ごろの判断基準・行動基準にするのは難しいですが、この基準を基に、経営層と社員が議論を行い、判断し、行動する文化が醸成されれば、よく機能する判断基準・行動基準になると思います。

また、ミッションの「プロとして、美味しく感動し、お客様にとってご満足いただける「食」を追求する」は、日ごろの行動基準・判断基準となる具体性を持っていると思います。

この2つを上手く使い分けつつ、同時に使うことで、環境変化に柔軟に対応することができる組織が構築できているように思います。

 

5. インパクトがあり、覚えやすいこと

比較的短い文章で構成されており、覚えやすいと思います。

そのなかでも、「ニューヨークに、十勝・池田町の食材を使った店を出店する」というビジョンは、シンプルであり、かつ、インパクトがあります。

社員のみならず、様々な関係者を惹きつける魅力を持っています。

実現に向けて行動し、是非とも、ニューヨークに、十勝・池田町の食材を使った店を出店して欲しいですね。

 

鈴木賢司社長のことば

「経営者の器以上に、店は繁盛しない」

 

1990年代後半、お店は赤字続きで、このままでは立ち行かなると思い、経営者のセミナーに通い、一から経営について勉強をしはじめます。

飲食業界の専門誌を買っては、その記事で紹介されているお店で、規模や業態が自社に似ているところを見つけ、アポイントをとって企業訪問に行きます。

優れた店は何がどう違うのか?生の声を聞き、自分の目で確かめます。

その中で、「脱・職人」に切り替えるきっかけになったお店に出会います。

ノウハウが見事に数値化されて、高級料理が提供されていることに、衝撃を覚えたそうです。

この仕組みをひと目見て、「職人に頼らない店づくり」を決め、実行します。

座学で学び、実地で学び、自ら実践して、その実践から学ぶ。

学びに必要な要素が全て行われており、素晴らしいです。

 

ひとこと

もともと料理職人であった鈴木社長は、営業経験がなく、営業が苦手だったそうです。

その悩みを札幌市内で有名な仕出し店に企業訪問した際、素直に自分の悩みを仕出し店の社長に打ち明けたところ、

 

私は営業マン上がりだけど、鈴木君は職人だろう?

職人が営業する。こんなに強いものはないよ。

だからさ、一軒一軒営業に回ったときは、『私がしっかり吟味してお客様のお料理をお作りします。』ということを誠心誠意伝えればいい。

そのくらい強いものはないだろう

 

と言って励ましてくれたそうです。

 

鈴木社長は「見ず知らずの、しかも同業の経営者である私に対して、ここまで親身に話をしてくださったことに感動しました。つくづく私は人に恵まれているなと思います。当時のことを思い出すと今でも胸が熱くなります。」と述べています。

 

覚えておきたいことが、2つあります。

1つ目は、弱みの原因は強みの源泉だということ。

2つ目は、応援される人は、日頃から感謝の気持ちがあり、感謝の気持ち表現し、恩返しを忘れず、恩送りができる人だということ。

 

 

『理念と経営 2020年 08 月号』より

理念と経営 2020年 08 月号 [雑誌]

理念と経営 2020年 08 月号〔雑誌〕

  • 発売日: 2020/07/21
  • メディア: 雑誌