情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

企業事例研究Case1 株式会社AgriInnovationDesign

新型コロナウイルス感染症が再拡大しています。

ビジネスにおいて、「このような危機と正面から向き合う」とは、一体どういうことなのでしょうか。

本当の顧客ニーズに徹底的に向き合う。

お客様にとって本当に必要とされる価値とは何か。

本当に必要とされる会社とは何か。

これらを深く理解し、それに少しでも近づくことだと思います。

商品やサービスは、お客様に本質的な価値は届けるための手段である、くらいの割り切りが必要です。 

 

 

株式会社AgriInnovationDesignは、「小学生のなりたい職業1位を農家にする」を経営理念として、「マルシェ」という市場の運営やプロデュースをしている会社です。 

赤坂アークヒルズ「ヒルズマルシェ」など、都内を中心に4つの「マルシェ」を運営しています。

「マルシェ」の本質的価値は、産地直送の生鮮食品を売ることではなく、人々が心から求めている『つながり』や『交流』を「マルシェ」というリアルな市場を通して提供していくことだと代表取締役の脇坂真吏さんは言います。

 

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このように、「マルシェ」は、出店する生産者と消費者が直接触れ合うコミュニティーの場であり、「地域と都市」「生産と消費」などが交わり、「つながる」ということが可視化されていた場所だと脇坂さんはいいます。

 

しかしながら、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、リアルな交流の場は、中止せざるを得ない状況となりました。

 

そのとき脇坂さんは、この危機と正面から向き合います。

本当の顧客ニーズに徹底的に向き合い、お客様にとって本当に必要とされる価値とは何か、本当に必要とされる会社とは何かを探求します。

そして、新型コロナウイルス感染症の拡大という環境の変化を踏まえつつも、人々が心から求めている『つながり』や『交流』という価値を、今ある経営資源を踏まえて、どのようにお客様に届けるかを考えたたとき、これまで「マルシェ」に出店していた生産者等に登録をしてもらい、「マルシェ直送便」という生鮮・加工食品の担い手である各地の生産者と消費者をつなぐ新たな場を創る、という結論に達しました。

 

この結論だけを見ると、オフラインで行っていたことを、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にオンラインで行っただけ、と見えるかもしれません。

しかしながら、自社が提供する本質的な価値を理解した上でのオンライン化は、あくまでもオンライン化は手段であり、手段であるオンライン化は目的達成のために改善されていくべきものとなります。また、次の環境変化があった場合にも、オンライン化が目的ではなく手段であることが明確であれば、目的である本質的な価値を提供するための手段であるオンライン化をやめるという意思決定も容易になり、過去の成功要因にとらわれすぎることなく、環境の変化に素早く適合することができます。

 

もう一つ重要なこととして、危機に直面したとき、その危機と正面から向き合うには、10年先、20年先、30年先の未来を見据えて持続可能性を考えることです。

未来を見据えていない構想は、そのときそのときの危機に振り回されてしまうだけになってしまう可能性が高いです。

 

例えば、つながりや交流が本質的な価値である「マルシェ」「マルシェ直送便」には、応援という要素がとても大切です。

しかしながら、応援し続けるだけでは、「応援疲れ」が生じてしまいます。応援を持続可能なものとするためには、誰もが応援する側に回ったり、応援される側に回ったりしながら、応援が循環し、継続し、持続していくことが重要です。

そして、その応援に金銭が伴えば、それが新しい経済活動になります。

つまり、応援し、応援される持続可能な仕組みの構築が新規事業開発のコンセプトとなって、10年後、20年後、30年後を見据えた事業構想を描くことで、環境の変化や危機に振り回されにくくなるように思います。