理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case15 サイボウズ株式会社

【経営理念】

チームワークあふれる社会を創る

 

【会社概要】

創業/1997年(平成9年)
業種/グループウェアの開発・販売・運用
資本金/6億1,300万円
従業員数/連結741名(2019年12月末)
本社所在地/東京都中央区
代表取締役社長/青野慶久(2代目・2005年就任)
URL/https://cybozu.co.jp/

 

 

経営理念

チームワークあふれる社会を創る

 

ビジョン

世界で一番使われるグループウェアへ

 

ミッション

ITの大衆化

 

文化

「公明正大」の文化

「自立と議論」の文化

「ルールより目的」の文化

 

分析

1. どのように社会に貢献するか明確であること

チームワークあふれる社会を、ITの大衆化、すなわち開発したグループウェアが世界で一番使われるようになることで実現しようとしており、事業を通じてどのように社会に貢献するかが非常に明確です。

自社製品・サービスを開発し販売することが、ビジョンと経営理念の実現に直結しており、良いお手本です。

2. 未来のあるべき姿、進むべき方向性を示していること

ミッションの「ITの大衆化」を行うことにより、ビジョンの「世界で一番使われるグループウェア」と、経営理念である「チームワークあふれる社会を創る」を実現する。

手段と目的が明確であり、あるべき姿、進むべき方向性が分かり易く示されています。

シンプルな経営理念、ビジョン、ミッションで、非常に良く考えられているように思います。

3. 戦略・戦術のヒントが見えてくること

経営理念であるチームワークあふれる社会を創るため、世界一のグループウェアを開発し、販売する。

戦略と戦術の根幹にあたる部分が見事に言語化されています。

自ら自社製品・サービスを利用して、チームワークあふれる会社を創ろうとしており、このことが自社製品・サービスの開発に活かされ、また、販売時の説得力を増しているように思います。
 

4. 迷ったときの判断基準・行動基準になること

事業戦略や事業戦術に迷ったとき、経営理念の「チームワークあふれる社会を創る」、ビジョンの「世界で一番使われるグループウェアへ」、ミッションの「ITの大衆化」はいずれも判断し、行動することが可能な基準になっています。

さらに、社内文化の「公明性大」「自立と議論」「ルールより目的」も、社内において判断や行動する際の基準となります。少し抽象的で、分かり易く、使い易い基準ではないかもしれませんが、この基準を基に、経営層と社員が議論を行い、判断し、行動する文化が醸成されているようで、実際には、よく機能していると思います。

また、議論を通じて、環境変化に柔軟に対応することができる組織が構築できているように思います。
 

5. インパクトがあり、覚えやすいこと

すべてが、一行ないし分かり易いキーワードで構成されており、非常に覚えやすいです。

このシンプルさは、インパクトがあるように思います。

シンプルですが、判断や行動に困るほど抽象的でなはく、議論を通じて具体的な判断や行動を行うことができる程度に具体性を持っています。

ここに至るまで、実際に社内で使われて、改善・改良が重ねられたものであるように思います。
 

青野慶久社長のことば

「なぜこの会社を創業したのか。私はいいグループウェアをつくって多くの会社を元気にしたかったんです。やはり自分が命を懸けるのはこれだ、と覚悟が決まりました。」

「みんなの意見を引き出せば、強い組織をつくり出せる。」

「100人いれば100通りの働き方」

本当に自分がやりたいことが見つかるのか?

見つかったとして、その目的を達成するために継続的に自分を変えていくことができるのか?。

いずれも難しいことですが、「本気になって真剣に志を立てよう。強い意志があれば事は半ば達せられたといってもよい」という松下幸之助さんの言葉のように、真剣になり、強い意志で自己変革を続けていける経営者が最も成功に近い経営者だと思います。

理想と現実のギャップから課題を明らかにして、社長自らがその役割を理解して取り組む。

『チームのことだけ、考えた。』書籍のタイトルのとおりに実行ができる青野社長は凄いです。

 

強みと10年構想の方向性

強みは、組織文化構築力・浸透力です。

「やるべきは、管理ではなく文化の浸透だった」

青野社長のこの一言は、とても重要です。

起きてしまった問題を個人の責任にするのではなく、組織の責任としつつ、ルールや手続きによる管理ではなく、人の行動変容をもたらす文化を社内に浸透させる。

このことの重要性に気づき、そして、実践する。

これなら会社(組織)は、変わりますね。
会社(組織)を変えるとは、どういうことかが分かる一言です。

そして、この組織改革力が、製品開発とその実証に生きており、好循環が生じています。*1

10年構想の方向性は、①国内市場浸透戦略*2、②グローバル展開です。

『理念と経営 2020年 08 月号』より

理念と経営 2020年 08 月号 [雑誌]

理念と経営 2020年 08 月号〔雑誌〕

  • 発売日: 2020/07/21
  • メディア: 雑誌
 

*1:様々な人事制度を自社に導入し、組織改革をしながら、自社の製品・サービスがチームワークの向上にどのように役に立つか、どうすればより有益で役に立つものになるかを検証することができます。これにより、他社に先行してシステム化による働き方改革や生産性の向上、組織力強化を行うことができます。

*2:ここに脚注を書きます