情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

金曜動画ショー

企業において、コミュニケーション力は様々な場面で必要となる能力です。

コミュニケーション力が高いと、自社の商品やサービスはもちろん、自社そのものをより効果的に知って頂くことができます。

どんなに良い商品やサービスであっても、お客様に認知されなければ、はじまりません。

今日は、そんなコミュニケーションに関するお話です。

 

 

金曜動画ショー

日経ビジネスオンラインに、「金曜動画ショー」というコラムがあります。*1

コラムニストは、鶴野充茂さんで、ビーンスター株式会社代表取締役です。

コミュニケーションの専門家で、人気動画紹介サイトを運営するほか、様々な動画をプロデュースしている方です。

そのコラムの中に、『100本作って反応なし! お粗末「子ども事故防止」サイト』というものがありました。*2

そのコラムでは、良い啓発動画とはどういうものかを具体例付きで紹介しています。

 

悪い啓発動画

はじめに、悪い啓発動画の例として、経済産業省が所管する独立行政法人産業技術総合研究所産総研)が公開した、乳幼児の事故を防ぐために、保護者に向けて起きやすい事故の形態を紹介する啓発動画をあげています。*3

 

その数、なんと100種類。 これに関して鶴野さんは、

この動画を、一体「誰が」、「どこで」、「何のために」、「どのように」使うのかがまったくイメージできません。動画が100種類あるといっても、活用方法が不明なのです。

そして、動画フォーマットも一般的なものでないため*4、ダウンロードしたり、ネット上でシェアしたりといったことが困難です。

「こんなのがあるよ」と代表例を誰かに紹介することも難しい。

と評しています。

 

確かに、これを啓発動画として作成したのであれば、そもそもこれを見ることができる人が少なく、しかも動画が100種類もあれば、これを見ようと思う人も少ないように思います。しいて言えば、啓発動画ではなく、既に啓発されている人が、より深く知るために見る動画だと思います。 

 

コミュニケーション力を高めるためには、文書であれ、動画であれ、およそ人に何かを伝えるための資料を作成する際には、「誰が」、「どこで」、「何のために」、「どのように」使うのかをできるだけイメージして、そのイメージに合う資料等を作成する必要があります。

これは社外とのコミュニケーションだけでなく、社内のコミュニケーションでも同じことが言えます。

特に専門的な内容の場合、できるだけ正確に(そして、人によっては保守的に(苦笑))書こうとするあまり、一文が長くなり、読みにくい、ポイントをつかみにくい資料になりがちです。

 

良い啓発動画① ニュージーランド交通省

良い啓発動画の例として、ニュージーランド交通省による、スピードの出し過ぎに注意を呼びかける動画が紹介されています。 これは、ほんと凄い動画です。あまりの出来の良さに驚きました。

 

 

この啓発動画について、鶴野さんは、

先ほどの車の啓発動画を見てはっきり感じられるのは、啓発動画で効果の期待できるものとは、興味のある人の理解を深めてもらうものではなくて、興味のない人にも興味を持ってもらい、さらに行動を促すことのできるものです。

寝ている子も起こす力が必要なんです。

と評しています。

 

いかがでしょうか。

貴社の情報発信資料は、 既に興味のある方を対象にしたものになっていないでしょうか。もちろん、意図的に興味のある方へ情報発信している場合は良いのです。

 問題は、新たに自社を知って欲しい、自社の商品やサービスに興味を持って欲しいと思っているときの情報発信をどのようにしているかです。

「自分には関係ない。」と思っている興味の無い人たちに、少しでも興味を持たせるのか?

そのためには、「誰が」、「どこで」、「何のために」、「どのように」使うのかを、できるだけイメージし、さらに行動を促すことができる資料を創る必要があります。

 

良い啓発動画② タイ保健振興財産

続いて2つ目の良い啓発動画は、タイの保健振興財団が制作した禁煙を促す啓発動画です。

 これは、ちょっと感動的な動画です。大人たちの表情がなんとも言えない、素晴らしいものになってます。

 

 

この啓発動画について、鶴野さんは、

より重要なポイントは、それを見た人がどうすれば次の行動に移せるかという意識がきちんと反映されているかどうか、ということです。

もし、そんな意識が制作者側に本当にあるならば、どんな人が、どこからその動画にたどり着き、見終わった後に、さらに詳しい情報を探しにどこに行ったり、その内容をどのように人に伝えたりするかを考えて用意しているはずなのです。

と評してします。

 

コミュニケーション力は、情報の受け取り手とどこまで真摯に向き合い、どうすれば情報の受け取り手が次の行動を起こせるかまで考えることが必要です。

 

さらに、鶴野さんは、

効果的な伝え方で大切なのは、分かりやすくするのはもちろんですが、それよりも、詳しく知りたいと思う気持ちをどう刺激するかです。

興味を持てば、人は自ら行動します。それが本来の啓発でしょう。

と言っています。

 

啓発動画だけでなく、様々な情報発信やコミュニケーションに必要な考え方だと思います。

*1:連載は既に終わってしまっており、今回ご紹介する記事自体は、「金曜動画ショー」 から見ることはできないようです。

*2:2014年1月10日付記事

*3:この動画は、現在見られないようです。鶴野さんに酷評されたからでしょうか・・・。

*4:フラッシュで作成されており、無料とはいえ、フラッシュが見られるソフトをいれていないと見ることができません。