理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

経営理念Case14 広島ガス高田販売株式会社

【経営理念】
豊かで健善な「暮らし」「環境」「成長」
私たちは、豊かで健善な「暮らし」を提案実現することで、お客様の笑顔を創ります。
私たちは、子供や孫たちの明るい未来を願い、豊かで健善な「環境」を創ります。
私たちは、仕事を通し「成長」を続けることで、豊かで健善な社会、企業、そして温かい家庭を創りします。

 

【会社概要】

創業/1964年(昭和39年)
業種/LPガスの製造販売、住宅の新築・増改築など
資本金/1,600万円
従業員数/50名(2020年4月1日)
本社所在地/広島県安芸高田市
代表取締役社長/住吉峰男(2代目・2007年就任)
URL/http://www.hirogas-t.co.jp/

 

 

経営理念

豊かで健善な「暮らし」「環境」「成長」
私たちは、豊かで健善な「暮らし」を提案実現することで、お客様の笑顔を創ります。
私たちは、子供や孫たちの明るい未来を願い、豊かで健善な「環境」を創ります。
私たちは、仕事を通し「成長」を続けることで、豊かで健善な社会、企業、そして温かい家庭を創りします。

 

ビジョン

日本一の地域密着企業
日本一、地域に密着し、暮らしを豊かにする

 

ミッション

お客様の暮らしを豊かにする

 

社是

顧客ありて会社あり
和、秩序、誠、熱意、揃って発展する
小さな事故も起こせば破滅
誠実は信用のもと
健康は幸福のもと
質素は安定のもと
反省は向上のもと
努力は発展のもと

 

分析

1. どのように社会に貢献するか明確であること

事業領域の限定がなく、事業を通じてどのように社会に貢献するかは分かりません。
ただ、それこそが広島ガス高田販売さんが目指している方向性であり、非常に明確です。
LPガスを事業の中心としつつ、「お客様にとって何が必要か?」と自らに問い続けることによって、お客様に必要と考えれば、ダスキンのレンタル、エディオンの家電販売、森永乳業の宅配、おそうじ本舗、クリーニング、コインランドリー、ホームセキュリティーなど、24時間365日対応のトータルサービスを提供して、お客様の暮らしを豊かにしています。

2. 未来のあるべき姿、進むべき方向性を示していること

豊かな「健やかさ」と「善さ」を、「暮らし」「環境」「成長」において求めています。
「暮らし」においてはお客様の笑顔を、「環境」においては子供や孫たちの明るい未来を、「成長」においては豊かで健善な社会、企業、そてい暖かい家庭を創ることが未来のあるべき姿、進むべき方向性であることが分かります。

言葉が、少し抽象的なため、社員を含む関係者が、本当に同じ未来のあるべき姿、進むべき方向性をイメージしているか、イメージを共有する場が必要ですね。
 

3. 戦略・戦術のヒントが見えてくること

「日本一、地域に密着し、暮らしを豊かにする」

営業の仕事を「お客様の暮らしの相談役」と位置づけ、お客様との何気ない会話の中から日常生活で困っていることを見つけ、新しいサービスを創り、提供しています。
「夏場は使わない暖房器具の置き場に困る」という話から、冬だけガスファンヒーターをレンタルするサービ開始するなど、お客様との接点から次々と生まれる新しいニーズに応えています。
抽象度の高い「経営理念」「ビジョン」「ミッション」が活きています。

4. 迷ったときの判断基準・行動基準になること

「健全」ではなく「健善」。「健やか」で「善い」かという基準は、具体的な判断基準・行動基準としては、なかなか難しい基準だと思います。
特に「善い」かどうかが難しいと思います。
ただ、何が「善い」のか?社長を含めた全社員の判断と行動が共有されたならば、そこには他社には真似のできない広島ガス高田販売さん独自の社風、社内文化が醸成され、強力な差別化要素になると思います。
 

5. インパクトがあり、覚えやすいこと

「健善」は造語であり、インパクトがあると思います。
抽象度は高く、また、少し長めの経営理念と社是であるため、「健善」という言葉に込めた想い、経営理念、社是を、社長と全社員が共有できれば、より広島ガス高田販売さんらしさがでるように思います。
ビジョンとミッションは、短くて覚えやすく、これらは実際に活用されることが多いと思います。

住吉峰男社長のことば

広島ガス高田販売さんが地域の人々から選ばれる一番の理由は、

「やはり社員です。誰が来ても誠実に対応してくれて、いい社員だね、と言われます。」

「強みは何かと聞かれれば、一番は『人』です。二番目が『システム』です。」

 

サービス業において、やはり「人」はとても重要ですね。

サービス業において最前線でお客様と接する従業員の最初の15秒間の接客態度が、その会社全体の印象を決めてしまう、いわゆる「真実の瞬間」を大事にする必要があります。

真実の瞬間 SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

「真実の瞬間」があるサービス業においては、「経営理念」「ビジョン」「ミッション」はある程度抽象的な方が、実際に活用され、機能しやすいと思います。

お客様と接する現場は、さまざまなことが起こり、それぞれのお客様のニーズに即座に対応する必要があるため、さまざまな現実を包摂できる必要があるからです。

サービス業においては、一見、抽象的過ぎて、社外の人には具体的なイメージが分かりにくい「経営理念」「ビジョン」「ミッション」であっても、社内で価値観を含めて共有ができていれば、ある程度抽象的な方が良いです。*1

強みと10年構想の方向性

強みは、改革実行力です。
改革実行力の源泉は、住吉社長の健全な危機感*2であり、改革を行う人と組織です。
また、社内のシステム化にも積極的に取り組んでいます。サービス業が生産性を高めるためには、システムが重要です。業務をIT化して、システムを使いこなすことが中小企業の生産性向上に役立ちます。

 

10年構想の方向性は、①地域密着型新規事業開発*3、②事業承継です。

 

『理念と経営 2020年 07 月号』より 

理念と経営 2020年 07 月号 [雑誌]

理念と経営 2020年 07 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: 雑誌
 

*1:もちろん、抽象度の高い「経営理念」「ビジョン」「ミッション」の本質的な価値観を社内において共有することは難しいという別の問題がありますが・・・。

*2:90年代後半になると、「人口減少」と「オール電化」により、顧客数が少しずつ減りはじめたそうです。顧客数が来年いきなりゼロになるような業界ではありませんが、むしろゆっくりと業績が落ちていき、「ゆでがえる現象」が起こることが、住吉社長は一番怖ったそうです。

*3:これまでは、自社でサービスを確立する力がないため、フランチャイズや代理店契約でダスキンのレンタル事業、エディオンの家電販売、森永乳業の宅配、おそうじ本舗などの新規事業を行ったきました。今後は、地域の特性を踏まえた自社独自の新規サービスが開発できるかが課題です。