情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

理念と経営 2020年7月号

定期購読している『理念と経営 2020年 07 月号』のメモ

経営に役立つアイデアやヒントをご紹介します。


特集 「今こそ、うちなる常識を覆せ」
 コロナ・ショックは変容の好機だ
 「できる理由」が一個あればいいじゃないか

 

理念と経営 2020年 07 月号 [雑誌]

理念と経営 2020年 07 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: 雑誌
 

 

株式会社経営共創基盤(IGPI)の代表取締役CEO冨山和彦さんが、非常事態に行うべき八つの鉄則をあげています。

  1. 最悪の想定を置き、最善の準備をすること
  2. バッドニュースを明らかにし、透明性を保つこと
  3. 短期的なPL目標は捨て、日繰りのキャッシュ管理にこそ注意すること
  4. 銀行から借りられるお金はとにかく早め早めに、事態が悪化する前に徹底的に借りておくこと
  5. 何を本当に残すべきかを見極め、「トリアージ(優先順位)」を決めること
  6. 必要であれば事業再生のプロを信頼できる人物から紹介してもらい、話を聞くこと
  7. 手段に聖域を設けないこと
  8. 危機はチャンスと心得て、周りの空気に流されずに新しい事業のための投資や買収に踏み出すこと

 

1. 2. 3. 4. 8. のアドバイスはしていますが、5. 6. 7. のアドバイスはできていませんでした。

ただ、この8つの中で、「トリアージ(優先順)」を決めるなら(笑)、1. 2. 3. 4. 8. になるかと思います。

いずれにしても、リーマンショック東日本大震災を経験している経営者であれば、この鉄則のほとんどはご存知のことかと思いますが、渦中にいるとなかなか気がつかない(思い出せない)ことです。

これを気がつかせる(思い出させる)のもコンサルタントの役割ですね。

株式会社ファインテック代表取締役社長兼最高技術責任者(CTO)の本木敏彦さんは、リーマンショックの際に、「自社の強みと存在意義」を改めて考え、仕事の7割を占める電子部品の下請けをやめ、仕事の3割を占める刃物メーカーへの特化を決断します。

その上で、助成金を活用して、職業能力開発促進センターに社員を通わせ、「将来のための勉強をするんだ」という思いを社員に芽生えさせました。

これにより社員に、「仕事を通じて自分を磨こう」とする意識が生まれました。

株式会社田野井製作所代表取締役社長の田野井優美さんの「生き残るのは、最も強い者でも最も賢い者でもなく、変化できる者である」というのは、自然科学者チャールズ・ダーウィンの言葉として紹介されています*1

「好況のときには次の不況に備え、不況の時には次の好況に備える。」

自社の強みと存在意義は、いっかり認識し、軸としながら、常に、状況の変化への対応を怠らない。とても重要なことです。

アストロ・テック代表の佐藤秋夫さんの「『できる理由』が一個あればいいじゃないか」には感銘を受けました。前向きな元気のでる良い言葉ですね。

「『元に戻す』だけでは復興にならない。新たな価値を創造する『進化した復興』でないといけないのです。」

これを実現するために、たった1個でもできる理由を見つけ、実現に取り組む勇気と気概、そして楽観性が必要だと思います。

 

道 第7回「道徳」

企業文化の変革を最優先課題に掲げると、「他人への共感や他人に力を与えたいという欲求」を原動力とする「共感の経営」を提起した。

顧客への共感とともに重視したのが、社員同士の共感だ。経営幹部のミーティングでも、数値分析はやめ、出席者一人ひとりが、自ら歩んできた人生のヒストリーを語り、共感する場へと変えた。

 

米国マイクロソフトのサティア・ナデラCEOの取り組みですが、このところマイクロソフトの業績は良いようですが、この取り組みとどの程度関係があるのか、興味があります。

 

Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来 

 

トップインタビュー

株式会社能作代表取締役の能作克治さん

 

「工場見学に来られたお母さんが『勉強せんかったら、こんな仕事をするようになるよ』と子どもに言うのです。高岡(富山県)の地場産業で、伝統産業でもある銅合金の鋳物をやっているわけで、本来は自慢して欲しいのにとショックでした。そのとき、これは僕たちの仕事が知られていないからだと思ったんです。それには見せるのが一番」

「もう『競争』の時代は終わったと思っています。産業観光も自分だけよくなるというのが一番駄目なんです。工場に来てくださったお客さんに、他にもある富山県のいいところを巡ってもらうようにすることが大切です。社員一押しの名所や食べ物、お店などをカードにして、お客さんに自由にお取りいただくようにしています。」

 

『勉強せんかったら、こんな仕事をするようになるよ』

これはショックですね。自分の仕事をこんな風に言われるのは、辛いです。

一人勝ちではなく、『共想』と『共創』の時代に、最新鋭の工場見学で自社と自社製品の認知度をあげつつ、各社員が一押しの富山県の良いところを紹介する。いいですね。旅先では、地元の方が評価するところに行ってみたいものです。

 

巻頭特別企画 「朝の来ない 夜はない」

「必要なのは、会社の理念やビジョンをみんなが共有していることです。私は、日本の多くの会社で本当の意味でそれができていないことが、一番の課題だと思っています。」

「大切なのは、自分たちの会社の未来観です。10年後、20年後は、こういう方向に向かっていこうという腹落ちが全社でできれいることです。」

「腹落ちを英語で言えば、センスメイキングです。実はグローバル企業では、これをちゃんとやっているのです。中長期的な方向感や自社の存在意義などを経営陣が死ぬ気で考えて社内に落とし込もうと、そういう研修を頻繁に行っています。理念やビジョンの共有という、一見、青臭いことを真剣にやっているわけです。」

「中小企業の強みはオーナー企業が多いということです。オーナー経営者であるからこそ長期的な視点に立ってブレないで知の探索型の投資ができるのです。」

「方法が少なくとも四つあると思っています。四つの『Re』、すなわちリプレース(更生)、リノベーション(進化)、リボリューション(変革)、リデフィニション(再定義)です。」

 

東日本大震災で被災した経営者と話をしていると、頭で考えるだけでなく、人間の持っている五感を使い、体で実感することが大切だと感じます。」

NPO法人蜘蛛の糸」理事長 佐藤久男

 

早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんと言えば、『世界標準の経営理論』ですね。センスメイキングは、第3部ミクロ心理学ディシプリンの経営理論、第23章センスメイキング理論「未来はつくり出せる」はけっして妄信でない、において同様のことがかかれています。800頁を超える大部ですが、面白くて読めてしまいます。

 

『世界標準の経営理論』

世界標準の経営理論

世界標準の経営理論

 

 

佐藤久男さんが理事長を務めるNPO法人蜘蛛の糸」は、経営者と家族の自殺を防止するNPO法人です。

バブル崩壊拓銀・山一・長銀の大手金融機関連鎖破綻、リーマンショック、そして、今回の新型コロナウイルス感染症危機は、いずれも経営者にとって過酷な環境の変化です。

どうしても事業を継続できない事態に陥ることもあります。

その時は、心機一転、身もこころも軽くして、『誰もが、いつでも、どこでも、どこからでも学べ、やり直しのできる社会』を一緒に実現する気持ちになってもらいたいと願っています。

 

お客様の喜びをつくれ!

「1970年代後半から使い捨てライターが登場し、マッチは次第に使われなくなります。」

「先代からは、『あと10年しかマッチでは食べていけないぞ』と言われていました。しかし、その後、予想を超えるスピードで売り上げは減少し、3年後には赤字に転落します。*2

「<祖父が築いた会社を残したい>

試行錯誤のマッチづくりが続きましたが、思うように売れません。問屋からは『今さらマッチなんて誰も使わないから、新規の取引は難しい』と厳しい言葉を掛けられます。」

「<需要がないのにつくっても無駄だ。マッチが主役でなくてもいい。マッチのルーツを語り継ぐような、新しい価値に火を付けるものづくりを目指そう>」

 

ここから発想の転換が始まります。

マッチではなく、他社に負けない自社の強みを改めて考えたところ、『唯一無二の着火技術』に気がつき、『マッチのように擦って火を付けるお香ステック』を開発します。

『hibi(ひび)10 MINUTES AROMA』

これは面白いですね!私も擦ってみたいです。

こういうストーリー大好きです。

 

指標に「未来」を見る⑦

「完全に個人消費が元に戻るのはいつになるのか。過去の経験を見てみると、リーマンショックでは二年、東日本大震災では一年、消費税の八%増税後は三年かかっています。今回は新型コロナウイルスのワクチンの開発・普及に時間がかかることを考えれば、消費税増税後と同じ三年程度はかかると見ていた方がいいと思います。」

「企業経営を考えたとき、第二、第三の感染拡大の波が来た場合、企業の倒産が相次ぐ可能性があります。」

 

消費税十%増税後に新型コロナウイルス感染症の拡大が起こったことを考えると、完全に個人消費が元に戻るのに3年では足りないと思います。ワクチンの開発・普及にも時間がかかる可能性があります。そうなると、完全に個人消費が元に戻るのに5年はかかると思います。

第2、第3の感染拡大の波が来た場合に備えて、消費構造の変化に合わせて事業を変化させるとともに、経済の停滞が長期化する可能性を踏まえて、できるだけ固定費を削減するなど、事業運営にかかるコストを低くする必要があります。

 

マーケティング

「ほんとうに、顧客を創る仕事をしていますか?」

「ビジネスの基本は『顧客の問題解決』です。とにかく、徹底的に既存顧客のお困り事や、社会のお困り事を見つけることが大切です。

「ピンチは、大変革のチャンスなのです。従来の固定観念を打破する最大の契機です。新しい発想で、顧客のお困り事を解決する手段を考えてみてください。」

 

新しい生活様式、すなわち、①三密を避ける、②手洗い、人との距離を確保する、③飛沫感染を防ぐためにマスク等を着用する、④会話を控える、⑤テレワーク・時差出勤などできるだけ人との接触を避けるなどの生活習慣の変化には、お客様の問題が発生する可能性があります。

買い物、娯楽・スポーツ、食事、公共交通機関、イベントなどは、これまでとは異なるビジネスが必要になります。

 

小特集 あなたの会社の『本当の顧客』は誰ですか?

「お客様を知り尽くすことです。そうでなければ、お客さまの満足や成功が理解できるはずがありません。究極の姿は、お客さま自身も気づいていないような成功を先回りして支援する」

「自分たちは何をバリュー(価値)にして、何をカスタマーサクセスする企業なのか、改めてしっかり定義する」

「カスタマーサクセスを提供できないとわかれば、あえてお客様にしない、という選択をする」

「プロダクト(製品)やサービスが最もいい形で使われるカスタマーをはっきりさせないといけない。」

 

カスタマーサクセスを実現する手段としては特に具体的なことは示されていないように思います。

具体的な手段として読み取れることは、強いて言えば、ピボットを繰り返し、誰が本当の顧客なのか、自社の商品やサービスにより成功させることができる顧客は誰なのかを探すということでしょうか。

弘子ラザヴィさんの『カスタマーサクセスとは何か』を読まないとわからなそうです。

 

『カスタマーサクセスとは何か ー 日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』

*1:実際、ダーウィンはこのような言葉を残していない、という話もありますが、ここではその議論は一旦置いておきたいと思います

*2:コダック富士フィルムの「写真フィルム」の話を彷彿させます。