情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

法務・知財部門の業務改革の必要性とその方法

法務部にしても、知財部にしても、どちらも企業内の一部門である以上、「人・もの・お金」といったリソースには制約があり、その制約の中で組織としてのどのように活動していくのか、という戦略が必要です。

これを戦略法務というのか法務戦略というのかは、また別の機会に検討することにして、法務部門や知財部門などの管理部門であったとしても、このような戦略を考える必要性はあります。

 

実際、予算を確保する際に、このような仕事をされている方がいると思います。

そのような仕事をしているのは、たいてい法務部門や知財部門のマネジメント層だったりします。 今日は、そんなマネジメント層向けの書籍の紹介です*1

 

 

『最強の業務改革―利益と競争力を確保し続ける統合的改革モデル』というタイトルのとおり、MOC(ビジネスモデル・オペレーション・キャパシティ)という視点から書かれた利益と競争力を確保するための業務改革の本です。

事業部門の業務改革だけでなく、「本社間接業務改革」という章が一章設けられ、法務や知財部門といった管理部門のオペレーション改革について書かれています*2

例えば、「管理部門が陥りがちな罠」として、以下のような指摘がなされています。

① やりすぎ
② 属人化(ブラックボックス化)
③ 業務の抱え込み(何でも内製)
④ 丸投げ
⑤ 過剰配置
⑥ 組織の細分化・重層化

法務部門や知財部門でマネジメントされている方ならば、これらのキーワードを見ただけで、自社内にも同様の問題があることは容易に想像でき、「そうそう、うちも・・・。」なんて変に納得されたり、頭を抱える(笑)方もいらっしゃる(結構多い?)のではないでしょうか?

 

これらの問題に対して、本書では、以下の改善策を提示しています。

① 成果物の見える化と再定義
② 業務遂行の見える化と資源配分の最適化
③ プロセスの見える化と効率化
④ 内外製の判断
⑤ 組織の大括り化

具体的には、③業務の抱え込み(何でも内製)という問題に対しては、②業務遂行の見える化と資源配分の最適化と ④内外製の判断という効率化のアプローチを取ることによって、業務改善をすることができるとしています。

④内外製の判断の際に、品質を担保できる外部サプライヤーの活用の可能性と市場価格と自社コストの比較という2軸を使って、業務の内外製を判断する方法を提示しています。

また、外部の活用にあたっては、委託の条件と成果物を明記したSLA(= サービス・レベル・アグリーメント)を作成することを勧めています。

これらは実際のコンサル場面でも使えるもので、良く活用しています。

中小企業においては、法務・知財業務を整理して弁護士事務所や弁理士事務所等に仕事をお願いする際、その都度きちんとしたSLAを作成するかどうかは別にしても*3、内外製の判断をしていく際の判断の一助にはなります。

法務部門や知財部門であっても、社内にどのようなノウハウを蓄積していくべきかという問題は、単に効率化というコスト削減効果の問題だけでなく、他社とどのような差別化要素を持つか、という戦略上非常に重要な問題です。

上記で挙げた①~⑥の問題点毎に、業務の効率化に向けた視点と様々な改善策が説明されており、法務部門や知財部門のマネジメント層が組織運営をする上で、また、コンサルタントが業務改善のコンサルをする際に役立つことが書かれており、いろいろと参考になる良い書籍です。

 

<評価> ☆☆☆☆☆

法務部門や知財部門のマネジメント職になって間もない方、または、業務改善を行うコンサルタントが最初に読む本として

*1:法務部門や知財部門において、専門職志向の強い方は、あまりマネジメントに興味がない、もしくは、できればやりたくないという方が結構いらっしゃるように思います。ただ、日本企業においては、法務部門や知財部門において、高度な専門能力を発揮している人ほど、マネジメント層への道が開かれることが多いように思います。そのときに、引き続き専門職を目指すか、それともマネジメントへの道を進むかは、悩ましい問題です。。。この話題も、いつか機会があれば、書いて見たいと思います。

*2:法務部門や知財部門の業務改善の本って、ほとんどない気がします。もちろん、私の知る限りでですが・・・。あったら、是非、教えてください。

*3:特に弁護士事務所に依頼するときは、切羽詰まっていて、「とにかくに至急お願いします!」なんて案件の方が多いため、SLAを作っている時間なんてないことが普通ですが・・・。