情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

新型コロナウイルスと新規事業開発

新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界が様々な影響を受けています。

昨年から支援を行っている新規事業案件の全てが、市場環境分析を再度行なわなければならない状況です。

しかしながら、新規事業開発支援をしていて、今こそが、新規事業開発を行う絶好の機会だと思っています。

 

確かに、想定外の事業環境の変化により売上が激減した企業や、キャッシュフローが完全に止まってしまった企業の経営者は、事業の継続性そのものに不安を感じているだけでなく、経営者自身の生活の不安も増しており、新しいことを考える、新規事業に取り組む、そんな余裕なんてない、と感じてしまうことは理解できます。

 

それでも言います。

今こそ、中小企業は新規事業開発を行いましょう。

今なら、これからの20年、いや30年、自社の柱となる事業が開発できる可能性が高いです。そして、下請事業者は下請から脱却し、自主、自立、自律したビジネスができる可能性も高いです。

 

 

1 何故、今こそ、新規事業を開発すべきときなのか。

新型コロナウイルス感染症により、事業環境が大きく変わりました。人々の価値観や行動も大きく変わっています。

つまり、『お客様のお困り事やお客様のニーズに変化が起こっている』ということです。

これまで成功してきた企業、特に大企業の多くは、新型コロナウイルス感染症が拡大する前のお客様のお困り事やニーズに応えるべく、技術やノウハウ、様々な人的・物的な資源を蓄積し、差別化をはかり、競争優位性を確保してきました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の価値観や行動が大きく変わり、お客様のお困り事やニーズも変わりました。

お客様のお困り事やニーズが変わったということは、これまで蓄積してきた技術やノウハウ、様々な様々な人的・物的な資源では、今まで同じように、お客様のお困り事やニーズを満たすことができない可能性が高くなったということです*1

例えば、これまで効率的と考えられてきた、東京一極集中は、今後も本当に効率的なのでしょうか。不必要に、新型コロナウイルス感染症の拡大リスクを負っているだけではないでしょうか*2

人に会う、ということの価値も変わってきています。これまでは、「やはり直接あって話をした方が良い」などと言って、大した用事でもないのに、飛行機や新幹線に乗って、人に会いに行くことがありましたが、これからは、本当に会わないとできないこと以外は、多少の不便さ、コミュニケーションロスは気にせず、オンラインミーティングで済ますようになるでしょう。対面と非対面を上手に使い分けることで、これまで以上に効率的に仕事をすることが可能になっています。

このように多くの人の価値観と行動が変わりはじめており、この価値観と行動にあった新しいビジネスは、競合のいない又は少ない事業領域であり、また、下請構造が確立していない事業領域であるため、自主、自立、自律したビジネスができる可能性も高いのです。

 

2 どうやって新規事業を開発するのか。

では、どうやって新規事業の開発を行うのか、いくつか例を見てみたいと思います。

1)星野リゾート

星野佳路さんが率いる星野リゾートでは、お客様の価値観と行動の変化に対応するため、更なる「衛生管理」対策、「3密回避」対策をとった新しいサービスの提供を行っています。

具体的には、

①テーブル席の感覚が2m程度に保たれているレストランはセットメニューを提供

②客室や自然豊かなパブリックスペースで自由に食事を楽しめるようにテイクアウトを実施

するなどして、「ビュッフェなし」の3密を回避した食事を実現しています。

今後も、3密を回避した様々なサービスを開発する予定とのことです。

2)ドライブスルーふくおか

福岡の有志が中心メンバーとなって、福岡の人気店のお弁当を安全対策を講じたドライブスルー形式で販売するビジネスです。

感染予防のためPCR検査をドライブスルー方式で行っていることをヒントに、お客様の安全・安心に配慮しながら、お客様の外食したい外出したいというニーズを満たす新しいビジネスです。
素晴らしいのは、今回の売上の一部を使って最前線で戦われている医療従事者の皆様にお弁当をお届けする、というお客様がこのビジネスを応援したくなる仕組みがあることです。
こんなに苦しいときにも、自分たちのことだけでなく、新たなお困り事に直面している人たちに想いを寄せることができるかどうか。共感力があるかどうかは、これからの新規事業開発において、さらに重要な能力となります。

他にも、以下のようなビジネスが、各地で展開されています。

「肉屋」と「魚屋」もあります。

 

3 終わりに

新規事業開発の成功確率をあげるためには、新型コロナウイルス感染症により、人々の価値観や行動がどのように変わったのか、そして、これから変わっていくのか、これを理解することが重要です。

では、どうやってこれを理解していくか?

想像力と創造力を膨らませて、自由に考えるというのも良いと思います。

自由すぎると、かえって理解が難しい場合は、例えば、厚生労働省から発表されている新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を参考にしてはどうでしょうか。

具体的なイメージが湧きやすいと思います。

 

一般論ですが、中小企業の方が、大企業よりも時代や環境の変化に対応をしたビジネスを創る能力は高いです*3

確かに、資金力(キャッシュ)は大企業に劣る中小企業がほとんどでしょう。

すべての中小企業に緊急融資が行き届き、新規事業開発を行う資金があるとは思っていません。それでも、従来なら借りれなった資金が借りられたという声も多数聞きます。

融資が受けられないと苦しいとは思いますが、まずは、お金のかからない方法で、どんどん試して見ることが、新規事業開発の成功確率を高める方法です。

 

こんなフォーキャスト思考ではなく、バックキャスト思考で、未来を切り開き、新らしいビジネスを生み出して、夢を現実にしたいですね。

*1:大企業が、新規事業に注力するためには、これまで蓄積してきた技術やノウハウ、人的・物的資源の大規模なリストラを行う必要があり、新規事業開発に取り組むまでに、想定以上の時間がかかり、抵抗にあいます。

*2:住居や職場、学校の問題があるため、一極集中の是正には時間がかかかると思います。

*3:例外は、新規事業開発の成功体験があり、新規事業を開発することが社内文化となっている大企業です。