情と理のシンセシス

SYNTHESIS OF HUMANITY & THEORY.

キャリアコンサルティングの意義と役割

「キャリアコンサルタントって何?」

「どんな仕事をする人なの?」

はじめてキャリアコンサルタントという名称を聞く人のために、キャリアコンサルタントとは何か、何をする人なのか、キャリアコンサルティングの意義やキャリアコンサルタントの役割を踏まえて、説明します。

 

 

1 キャリアコンサルタントとは何か?

キャリアコンサルタントとは、1)キャリアについて、2)コンサルティングを行う人のことです。

これだけでは、ほとんど何も説明していないのと同じですので(笑)、1)キャリアとは何か?2)コンサルティングとは何か?を詳しく見ていきます。

なお、キャリアコンサルタントの名称を使うためには、原則として、国家試験であるキャリアコンサルタント試験に合格する必要があります。

1)キャリア

キャリアコンサルタントコンサルティングを行うキャリアとは何でしょうか。

通常、私たちは、「キャリア」を進路や経歴、仕事や職業に関するものと捉えがちですが、キャリアコンサルティングにおけるコンサルティング対象となる「キャリア」とは、「人生そのもののこと」と捉えます。

仕事や職業はもちろんのこと、様々な勉強や学習、趣味やレジャー、ボランティアなどの社会活動、家庭や家族との関わりをも含むものと「キャリア」を考えます。

2)コンサルティング

キャリアについて行うコンサルティングとは何でしょうか。

様々な考え方があると思いますが、

『キャリアカウンセリング+キャリアガイダンス=キャリアコンサルティング

であると考えています。

これまでどのように生きてきて、これからどのように生きていくのか。これをクライアントと一緒にたどり、人が自分の役割を果たしながら、他の人や社会にかかわることにより、自分らしい生き方を実現していく過程、すなわち、キャリアの発達を促す活動がキャリアコンサルティングです。 

 

2 キャリアコンサルティングの意義

少し硬い説明になりますが、キャリアコンサルティングの意義は、個人と組織とが社会の変化に適用するために、個人のキャリア形成の支援を通じて職業能力の開発を行うとともに、働く者を育てる環境の再構築に貢献することにあります。

具体的には、近年の技術革新の急速な進展、産業構造の変化、労働者の意識の多様化等様々な社会・経済的な変化に伴い、個人が主体的に自らの希望や適性・能力に応じて、生涯を通じたキャリア形成を行うことを支援し、個々人のキャリアの多様化や、社会的ニーズ、又は労働政策上の要請等に応えることとなります。

 

3 キャリアコンサルティントの役割

キャリアコンサルタントの役割は、大きく、1)個人に対する役割と2)組織に対する役割の2つに分けられます。

1)個人に対する役割

個人に対する役割は、職業を中心にしながらも、個人の生きがい、働きがいまで含めたキャリア形成を支援し、個人が自らキャリアマネジメントをすることにより自立・自律できるように支援することです。

2)組織に対する役割

組織に対する役割は、個人の自立・自律を支援することが組織の生産性、創造性の向上につながるとの理解のうえで、個人の主体的なキャリア形成の意義・重要性を組織に浸透させるとともに、その実践を支援することです。

このような個人と組織双方の取り組みの上に「個人と組織との共生」の関係が成り立つように支援し、個人に対する相談支援だけでなく、キャリア形成やキャリアコンサルティングに関する教育・普及活動、環境への働きかけ等を行うことも、その役割となります。

バブル経済の崩壊まで、企業は、新卒で会社に入社する学生たちに、「まっしろなままで(白紙の状態)で入社して欲しい、あとは会社に入ってからOJTで学べば良い」と言ってきました。

ところが、バブル経済の崩壊後、終身雇用制は崩れ、年々、企業に人を育てる余裕がなくなってきました。

社員が研修やセミナーを受講する予算は毎年削られ、企業は社員に対して、「企業は社員の面倒をいつまでも見切れない。各自、自己研鑽・自己啓発をして欲しい」と言いはじめます。

しかし、企業から「自己研鑽・自己啓発しろ」と急に言われても、何をどうして良いのか、さっぱりわからない、という社員がほとんどです。

「何がしたい?」

「何がやりたい?」

「何をしているときに、やりがいや生きがいを感じる?」

こういった質問は、これまで考える術を学ぶ機会を与えられてこなかった人たちに、いきなり聞くべきものでも、その答えを要求すべきものでもありません。

長年、自分を抑えて、我慢して、一生懸命、まじめに仕事をしてきた人ほど、自分が何をしたいのか、何にやりがいや生きがいを感じるのか分からないものです。

そんな人たちと一緒に、仕事や職業はもちろんのこと、様々な勉強や学習、趣味やレジャー、ボランティアなどの社会活動、家庭や家族との関わりといったものを含めて、これまでどのように生きてきたかを一緒にたどり、これからどのように生きていくのか考える手助けをし、自らその一歩を踏み出せるようにお手伝いするのが、キャリアコンサルタントの仕事だと思います。
 

キャリアコンサルティングに関する基本書、教科書的な本としては、木村周先生

『キャリアコンサルティング 理論と実際 5訂版』がお勧めです。

教科書的な本ですので、少し文章は硬いですが、読めば読むほど良さが分かる良い本です。
 

<評価> ☆☆☆☆☆

キャリアコンサルティングをはじめて学ぶ人から、学び直したい人まで。

キャリアコンサルティング 理論と実際 5訂版

キャリアコンサルティング 理論と実際 5訂版

  • 作者:木村 周
  • 発売日: 2018/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)