理論と実践

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経営理念について

良い経営理念とは?

中小企業経営者の支援をしていて、つくづく「経営理念」の重要さを実感します。

「経営理念」「企業理念」「信条」「クレド」「社是」「ビジョン」「ミッション」等、本来は、それぞれ微妙に定義が異なりますが、そのような細かな違いは無視して、ここでは「会社が大切にしている想い」のようなものの総称として「経営理念」と言います。

「経営理念」は、単なるお題目ではなく、ステップを踏んで創り、社内に浸透させていくと、様々な場面で本当に役に立ちます。

様々な場面で役に立つ良い経営理念とはどのようなものでしょうか。

 

 

良い「経営理念」に必要なもの

良い「経営理念」は、自己理解を深めることにより創られたものであることが必要です。

自分はこうありたいという「ビジョン」や、こうあるべきという「想い」から生じる人生観や人間観が、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」に活かされてはじめて、次のような良い「経営理念」「信条」を策定することができるようになります。

  1. 創業者や経営者のこうありたい、こうあるべきだという想いから生じる人生観や人間観に基づく根本の考えから創られていること。
  2. 創業者や経営者が、人生を賭けて実現したいことは何か?この会社は何のためにあるのか?今、私たちは何をすべきか?という問いに答えることができるものであること。
  3. 経営者を含めて、働く人々が、果たすべき使命(ミッション)と、使命を果たした先にある長期的なビジョンが分かりやすく、明確に表現され、日々の事業活動で活用されていること。

このような経営者の「ビジョン」や「想い」、「人生観」や「人間観」に基づく、「経営理念」だから、社内に浸透し、社員と共有し、企業で働く人の全員が活かせるものになります。社員の全員が活用できるものでなければ、良い「経営理念」や「信条」とは言えません。

良い「経営理念/信条」の評価基準

経営理念は、策定することが目的ではありません。経営ツールとしてしっかり活用することが重要です。

社内に浸透させ、社外にきちんと発信することで、経営理念の存在意義が高まります。そのためには、社長の強い想いを起点にしていること、社員が参画して社員の想いも反映すること、判断基準や行動基準として活用できるように常に参照できるようにすること、必要に応じて内容を見直すことなどが必要です。
ピーター・ドラッカーは、「企業文化は戦略に勝る」と言っています。
良い経営理念とその実践は、良い社風、良い企業文化を形成し、極めて模倣困難な価値ある経営資源になります。
従って、良い経営理念かどうかは、実際に、企業活動にどれくらい活用されているかがキーになります。
もちろん、企業活動において活用される度合い高ければ高いほど、その内容が重要になってきます。

良い経営理念かどうかを内容面から見た場合、次の5つの基準で評価できます。

1. どのように社会に貢献するか明確であること

2. 未来のあるべき姿、進むべき方向性を示していること

3. 戦略・戦術のヒントが見えてくること

4. 迷ったときの判断基準・行動基準になること

5. インパクトがあり、覚えやすいこと

少し詳しく見ていきます。

評価の5つのポイント

1. どのように社会に貢献するか明確であること

ミッション(使命)に相当するものです。①どのような社会を実現するために、②どのような事業領域でビジネスをするのか?ということです。
会社のミッションとそこで働く人の個人的なミッションが一致していると、モラル(士気)とモチベーション(やる気)を高く維持した状態で仕事に取り組めるため、高い成果が得られる可能性が高まります。*1

2. 未来のあるべき姿、進むべき方向性を示していること

ビジョン(未来像・将来像)に相当するものです。ある時点までに「こうなっていたい姿」と言っても良いと思います。中長期的な未来像・将来像の場合、より経営理念に近いものになります。従って、短期的な目標から中長期的な目的までを含むものであり、変化し、進化・深化するものです。
社長はもちろんのこと、そこで働くすべての人が未来のあるべき姿、進むべき方向性を共有できている組織は、つまり、「共有ビジョン」を持った組織は、前向きな希望を持った組織であり、困難な場面でもチームとして取り組むことができます。

3. 戦略・戦術のヒントが見えてくること

ミッションを、どのように積み重ねて、ビジョンを実現するのか、その実現手段に相当するものです。実現手段そのものが分かり易い場合は多くないと思いますので、実現手段のヒント見えてくるかどうかがポイントです。
次の「4. 迷ったときの判断基準・行動基準になること」に似ていますが、どちらかというと平常時の行動基準と理解した方が整理しすいです。

4. 迷ったときの判断基準・行動基準になること

バリュー(価値観)に相当するものです。昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大など大きな環境の変化や想定外の出来事が生じ判断に迷う場合の判断や行動の基準となるもので、どちらかというと非常時の判断基準・行動基準と理解した方が整理しすいです。

5. インパクトがあり、覚えやすいこと

経営理念は、社長だけでなく、そこで働く多くの社員が、日々の仕事のなかで活用すべきものです。従って、インパクトがあり、覚えやすく、繰り返し活用することで、無意識のうちに経営理念に沿った判断や行動ができるようになるものが良いです。

経営者に贈る5つの質問[第2版]

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*1:企業によっては、ミッションが、私たちは何のためにビジネスをしているのか?会社は何のためにあるのか?その役割、存在意義は何か?に答えるものとなっており、狭義の経営理念にまで高められていることがあります。