「教科書通り」でうまくいかないとしたら、それは理解が不十分で、取り組みが徹底されていないからに違いない。
『星野リゾートの教科書』より
この言葉は、私が星野佳路さんに興味を持ったきっかけです。*1
「ここまで言う日本人の経営者の方もいるんだな」
日本においては、一流の経営学者が書いた「教科書なんて、経営の役に立たない」「教科書の理論なんて机の上でしか通用しない」と考える経営者は多いように思います*2。
ここまではっきりとは言わないまでも「本当にビジネスの現場で役に立つのだろうか?」と疑問に思う経営者の方は多いように思います。
仮に、役に立つと少しは思っていても、経営の教科書を読んで、それを実践する人は少ないように思います。
さらに、経営の教科書を深く読み込み、教科書が教えることをしっかりと実践しようとする人は、ほとんどいないように思います*3。
しかしながら、星野佳路さんは、
根拠や基準となる理論があれば、ぶれなくなる
私が教科書通りの経営を実践しているのは、経営判断を誤るリスクを最小にしたいからである。
といい、そのように考える理由を、
私が参考にする教科書の多くは、米国のビジネススクールで教える教授陣が書いたものだ。
彼らは「ビジネスを科学する」という思想の下、数多くの企業を対象に手間と時間をかけて事例を調査し、そこから"法則"*4を見つけ出し、理論として体系化している。その内容は学問的に証明され、一定の条件のもとでの正しさはお墨付きなのだ。*5
としています。
一定の条件のもとであれ、その正しさが検証済みなのであれば、経営理論を活用した経営判断を継続することで、正しい経営判断をする確率を上げることができるようになると思います。
*1:何故なら、私は、『経営理論について』のとおり、基本的に経営理論は役に立つと考えており、実際に教科書から学び、実践に活かすという、星野佳路さんと同じ考えを持っているからです。
*2:私の周りだけかもしれませんが・・・。
*3:経営の教科書などを読んでいなくても、結果的に、教科書が教える理論を実践してまっている人が、たまにいます。
*4:私の理解では、「法則」ではなく、「論理」になります。詳細は、『「法則」「論理」「理論」について』
*5:これを星野佳路さんは、『経営の定石』といい、『何も知らないで経営するのと、定石を知って経営するのではおのずと正しい判断の確率に差が出る。それは会社の長期的な業績に直結するはずだ。』と言っています。