理論と実践

知の創造と智慧の実践プロセス

ONE TEAM

2019年も残すところ後3日となりました。今年を振り返ると、様々なことがありましたが、その中でも、アジア初、日本初のラグビーワールドカップが開催されたことが、最も記憶に残っています。

 

私がラグビーを観戦し始めたのは1988年からです。ラグビーワールドカップは第2回大会から見ています。

第3回大会(1995年)の『ブルームフォンテーンの悲劇』*1も、リアルタイムで見ました。

この日を境に、日本ラグビーの長期停滞・低迷が始まりました。 

しかるべき準備をして試合に臨んでいないことは明らかでした。努力、勇気、思考。すべてが欠如していた。ワールドカップの戦いだというのに、彼らはやるべきことを何もしようとしなかった。

そのうえ、彼らは絶対にしてはいけないことをしていました。何かって? 『ギブアップ』ですよ。だから1分に1点以上も取られたんです。

number.bunshun.jp より

 理由は、元ラグビー日本代表のヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんのこの言葉が全てを表しています。

日本ラグビー界は魅力を失い、多くのファンが日本ラグビー界に失望して、離れていきます。

 

スポーツの商業化について、様々な議論があることは理解をしていますが、資本主義社会におけるプロスポーツにとって、ビジネスの視点はかかせません。ファン(顧客)の創造は不可欠であり、マーケテイングが必要となります。

 

 例えば、プロスポーツにおけるマーケテイング・ミックスは、次のように表現できます。
①プロダクト
競技の魅力を向上させる。勝つことも大事ですが、見ていて面白い、感情移入できることが重要です。スピード感のある展開、体を張ったプレー、諦めない折れない姿勢を見せることなどが競技の魅力を向上させます。
②プライス
ファンの裾野を広げる。ファン(新規顧客)層の拡大のためには、往年のラグビーファン以外の女性や子供といった新しいお客様をファンにすることが必要がです。そのためには、女性ファン向けの特別価格や子供向けの無料招待など、競技の魅力が十分に高ければ、良い施策になります。
③プレイス
ラグビーを見たいと思ったときに、見れる環境を整える。ラグビーは競技場だけで見るものではありません。スポーツパブを含むパブリックビューイングやテレビ放送など、行きやすい、見やすい、アクセスしやすいことが必要です。
④プロモーション
ファンになるためのきっかけ作りをする。難しいと言われるルールを易しく解説する、選手の人となりを伝える、イベントを実施するなどの情報発信をして、人を楽しくワクワクさせ、ファンになってもらいます。
⑤パートナー
一緒に、競技の魅力を向上させ、魅力を伝える人をつくる。ファンをつくるためのコアなファンをつくる。リアルでいえば、地域における協力者を、オンラインでいえば、SNSのコミュニティづくりなどが重要です。

 

また、2019年第8回ラグビーワールドカップ日本大会の日本代表は、ビジネスにおける組織づくりの参考になります。

2019年のチーム作りの課題は、2015年第7回大会以上の価値を生み出すためダイバーシティ(多様性)の高い組織に対して、どのようにチームビルディングをしていくのか?です。

これに対して、ラグビー日本代表チームが出した答えは、「ONE TEAM」です。

具体的には、以下のようなプロセスをとおして、「ONE TEAM」を創りあげます。

①ビジョンと価値観の共有

②明確な目標設定

③目標達成とビジョン実現のための戦略構築

④「品位」「情熱」「結束」「規律」「尊重」というラグビーのコアバリューを体現する組織文化の醸成

⑤ブランドの確立。

こうしたプロセスを踏んだ組織づくりが、ファン(お客様)のこころを動かすプレーやラグビー(仕事)に取り組む姿勢となり、試合を見たファンが「あの感動をもう一度」と思い、リピーターとなっていきます。

組織づくりは、顧客づくり。

まさに、顧客創造ですね。

*1:南アフリカのブルームフォンテーンにおいて、日本代表がニュージーランド代表(控えのメンバー主体のチーム)に145対17で敗れた試合